サッカーの祭典、W杯カタール大会が20日にドーハで開幕する。初の中東大会となる今回は、夏場の猛暑を考慮して異例の11~12月開催。前回優勝のフランス、王国ブラジル、メッシ率いるアルゼンチンを筆頭に、32チームが母国のプライドを胸に世界一を争う。前回のエムバペ(フランス)のようなニューヒーローは現れるのか。オーバー30となったスーパースターたちが再び輝くのか。4年に1度の究極のフットボールタイムが始まる。
A組■欧州スター軍団セネガルが有利か
展望■2強と評される世代交代した新生オランダと、欧州スター軍団のセネガルが初戦で激突。W杯の経験値で見ればセネガル有利か。開催国のカタールは、04年から国を挙げた強化プロジェクトの集大成。初戦のエクアドルに勝てば台風の目になるかもしれない。
カタール…19年のアジア杯は7戦全勝で優勝。エースのFWアリは7戦9得点で新記録でFWアフィフとの2トップは強力。国際舞台は未知数も台風の目になるか。
エクアドル…注目はプレミア経験を持つ33歳のエース、バレンシア。14年のW杯ブラジル大会は3試合3得点、今回の南米予選も12試合4得点とチームをけん引。
セネガル…同国史上で最多得点者のFWマネは負傷欠場となったが、DFクリバリ、MFのI・ゲイら欧州で活躍する選手がズラリ。前回大会同様、シセ監督が指揮。
オランダ…世代交代の象徴はMFのF・デヨング。欧州予選全10試合に出場した攻守の要。DFファンダイクら新星が台頭し、がんと闘うファンハール監督が花道を飾る。
B組■ウェールズと若い米国が2位候補
展望■攻守で豊富なタレントを抱えるイングランドが、頭一つ抜けている。2位候補は米国、ウェールズ。日本と強化試合で戦い、0―2で敗れた米国は若手中心のメンバーをいかに、まとめ上げるかが課題。イランとしては、厳しいグループに入った印象。
イングランド…ネーションズリーグでは6戦未勝利。守備陣に安定を欠いたが、エースのFWケーン、若手のMFフォーデンら攻撃陣の爆発力を考えれば、優勝候補の1つ。
イラン…9月の親善試合では、ウルグアイに1―0で勝利。格上にも勝利する底力を持つ。最前線に入るFWアズムンを中心に、強固なチームワークが際立つ。
米国…平均年齢は25歳。若さの勢いが、吉と出るかは、チェルシーで10番を背負うFWプリシッチ、ACミランのDFデストら経験豊富な選手が鍵を握る。
ウェールズ…64年ぶり2度目の出場。FWベール、MFラムジーなどがメンバー入り。迫力という点では、やや見劣りするが、経験豊富なベテランでカバーする。
C組■メキシコ8大会連続決勝Tなるか
展望■FWメッシを擁するアルゼンチンが中心。35試合連続無敗中と圧倒的な強さで大舞台へ。7大会連続で決勝トーナメント進出のメキシコ、前回1次リーグ敗退の雪辱を期すポーランドが競るか。サウジアラビアは開催地近隣である地の利を生かしたいところ。
アルゼンチン…昨年コパ・アメリカ決勝で王国ブラジルを破り、11大会ぶりの優勝を果たしたアルゼンチン。5大会連続出場のFWメッシが中心のチームは攻めまくる。
サウジアラビア…アジア最終予選で日本を苦しめた。全員が国内組で構成されており、連係面に期待ができそう。日本相手にゴールを決めた22歳のFWブリカンがキーマン。
メキシコ…指揮を執るのは、10年南アフリカ大会で日本を破りパラグアイを初の8強に導いたマルティノ監督。ここ7大会16強止まりのメキシコを手腕で導けるか。
ポーランド…経験豊富なベテランに若手が融合。柱はブンデスリーガで7度得点王の34歳FWレバンドフスキ。まだW杯で得点はなく、2度目の出場で初ゴールなるか。
D組■王者フランスを脅かすデンマーク
展望■連覇を狙うフランスがトップ通過本命だが、同国の1位の座を脅かしそうなのが昨年の欧州選手権4強のデンマーク。6月のキリンカップで日本に勝利したチュニジア、世代交代がうまくいっておらず力を落としているオーストラリアの2国は厳しいか。
フランス…バロンドールのベンゼマやエンクンクが負傷欠場となったが、エムバペらFWは豪華。前回VのMFカンテ、ポグバもいないが結果、中盤は若返った。
オーストラリア…J2勢の2選手が注目だ。岡山FWデュークは最前線のターゲットマンで打点の高いヘディングが武器。新潟DFデンはケニア出身で俊敏な動きが魅力。
デンマーク…GKシュマイケル、DFケアー、A・クリステンセンが固める守備は強固。心停止から復活したMFエリクセンの存在も心強い。9月にはフランスも破った。
チュニジア…6月には日本を3-0で下し、ダークホース的な存在。前回大会を知るFWハズリ、DFマールル、日本戦で得点したMFサシらが軸。成熟度は4年前より上。
E組
F組■実力ある2強をどこまで崩せるか
展望■前回準優勝クロアチアと同3位ベルギーが選手の質、量で抜けている。第3戦で直接対決する両国は、2戦目までに勝ち点を重ね、1次リーグを優位に運ぶはずだ。モロッコは個人技で、カナダは高速カウンターを武器に2強崩しをもくろむ。
ベルギー…前回過去最高3位に導いた得点源E・アザール、故障がちとはいえFWルカクらが中心。経験と実績では屈指の選手層を誇り、優勝候補の一角になる。
カナダ…初出場して3戦全敗した86年以来、2度目の出場で初得点、初勝ち点、初勝利を目指す。大会直前に負傷したFWデービスの復調がカギを握りそうだ。
モロッコ…過去5度の出場でベスト16は86年だけ。8月に解任されたハリルホジッチ前監督と対立したMFジエシュは代表復帰し、右サイドから得意の左足を振り抜く。
クロアチア…37歳モドリッチが健在の中盤はタレント豊富で、前回準優勝から悲願の世界一を狙う有資格国か。2大会連続指揮するダリッチ監督の采配も期待される。
G組■カメルーン台風の目になれば熱い
展望■前回大会と同じブラジル、スイス、セルビアが入る。初戦のブラジル―セルビアは注目。ブラジルは2戦目がスイスで気が抜けない戦いが続く。順当ならブラジルをスイスとセルビアが追う構図。カメルーンは戦術がかみ合えば台風の目になる可能性を秘める。
ブラジル…ネイマールを擁し02年日韓大会以来、6度目の優勝を目指す。リシャルリソン、ビニシウスら攻撃陣だけでなく、中盤にカゼミロらバランスの取れた陣容だ。
セルビア…ラツィオMFのS・ミリンコビッチサビッチらタレントは豊富でブラジルを脅かせる存在。前回大会で敗れた雪辱を期す。ストイコビッチ監督が率いる。
スイス…モナコのFWエンボロが得点源。中盤にはアーセナルのMFシャカを擁する。昨夏の欧州選手権でフランスを撃破しており実力はある。
カメルーン…インテル・ミラノGKオナナ、Bミュンヘンの33歳FWチュポモティングら実力ある選手がそろう。2大会ぶり出場の「不屈のライオン」は怖い存在だ。
H組■全チーム攻撃陣強力で混戦もある
展望■2強1中1弱か。ポルトガルとウルグアイの2強が突破有力で、韓国が実力上位2チームの一角を崩せるか。2強といっても強烈な強さはないため、ガーナも含む混戦もあり得る。4チームとも攻撃陣に実力者がいて、激しい点の取り合いになる可能性も。
ポルトガル…マンチェスター・ユナイテッドで問題を抱えるFWロナウドが、代表で本領発揮できるか。精神的な支柱でもあり、チーム浮沈のカギとなる。
ガーナ…プレミア所属のエースFWジョーダン・アユーに注目。父はガーナのレジェンド、アベディ・ペレ。中央、サイドでプレーできるユーティリティー。
ウルグアイ…人口350万人の小国だが、サッカー熱は南米でも随一でW杯2度優勝。ベテランFWスアレスとカバニに代わるリバプールFWヌニェスの成長が著しい。
韓国…不動のエース孫興民(ソン・フンミン)の影響力は絶大。現在、顔面骨折の手術をへてリハビリ中だが、W杯は間に合いそうで、マスクマンで出場濃厚。