男子400メートル障害のカルステン・ワルホルム(23=ノルウェー)の47秒12など、トラック5種目で今季世界最高記録が誕生した。ワルホルムのタイムはヨーロッパ新記録で、男子200メートルに優勝した謝震業(25=中国)は19秒88のアジア新記録、女子5000メートル3位のシファン・ハッサン(26=オランダ)も14分22秒12のヨーロッパ新記録をマークした。

それに対してフィールド種目は、風向きがめまぐるしく変わったことも影響したのか好記録は生まれなかった。

日本勢は男子100メートルで小池祐貴(24=住友電工)が9秒98の日本歴代2位タイの記録で4位に、桐生祥秀(23=日本生命)は10秒13で7位に入った。小池は200メートルでも20秒24の4位と好走し、今秋の世界陸上ドーハと来年の東京五輪の標準記録を突破した。

また4×100メートルリレーでも日本は、多田修平(23=住友電工)、小池、桐生、白石黄良々(23=セレスポ)のメンバーで37秒78の2位と、9月開幕の世界陸上でのメダル獲得に期待を持てる結果だった。

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ワルホルムはいつものように前半から大きくリードを奪い、後半も2位以下をまったく寄せ付けなかった。ヨーロッパ新記録でフィニッシュするとスタンドに向かって両手を広げた後、2年前の世界陸上でも金メダルを取ったトラックにひざまずいてキスをした。

「いつも驚くべきことを成し遂げようとはしているけど、そのためにはハードな練習や、競技に集中することが必要なんだ」

ライバルのアブデルラーマン・サンバ(23=カタール)に、ワルホルムは昨年6連敗した。今季はまだ直接対決していないが、世界陸上ドーハ大会ではライバルの地元で雌雄を決することになる。

「今は本当に良い状態だけど、世界陸上まで期間は長いから」と、気を引き締めていた。

男子200メートルの謝は後半に強さを発揮した。

スタートは2レーンの小池が飛び出したが、直線に入った時点では7レーンのミゲル・フランシス(24=英国)がリード。9レーンの謝が続いていた。

そこから謝が追い上げ残り30メートル付近でフランシスを逆転。19秒88はアジア人2人目の19秒台で、フェミ・オグノデ(28=カタール)が15年に出した19秒97のアジア記録を0.09秒更新していた。

「速く走るんだ、と自分に言って走っていました。この結果は世界陸上に向けて大きな自信になる」

サニブラウン・アブデル・ハキーム(20=フロリダ大)とのアジア勢対決も面白くなりそうだ。

◆今季の男子400メートル障害

47秒12のワルホルム、47秒16のレイ・ベンジャミン(21=米国)、47秒27のサンバと、3人が47秒台を出している。3強と言っていい状態だ。

ダイヤモンドリーグはワルホルムが2勝、ベンジャミンとサンバは1勝ずつで、3強同士の直接対決は今季一度も実現していない。

記録的にはサンバが昨年、史上2人目の46秒台(46秒98の世界歴代2位)をマークしている。今後、世界陸上やダイヤモンドリーグで3強が対決すれば、46秒78の世界記録更新も可能性が出てきそうだ。

なお、シーズンリスト4位は48秒48なので、48秒80の安部孝駿(27=ヤマダ電機)にも世界陸上入賞の可能性は十分ある。