19日のヒューストン・ハーフマラソンで1時間6分38秒の日本新記録を14年ぶりに更新した新谷仁美(31=積水化学)が25日、大阪市内で会見した。

「今後、専門である1万メートルへいい弾みになったと思います」。少し照れくさそうな表情を浮かべながら、06年福士加代子が出した従来の日本記録を48秒も塗り替えた喜びを語った。ハーフマラソンは2度目の挑戦だった。相手も力のある選手が多かったが、「ハーフに慣れてなかったからこそ、最初から思い切り行けたのがいい方に回ったのかな。周りの選手もどのくらいの力をもっているのかが分からず、データのない状態で入れたのがよかったのかな」と話した。

フルマラソンへの期待も高まるが、意欲を問われると「マラソンは絶対にありません」と即答。長い距離への不安、練習を継続する難しさなど理由の以外にも、「好奇心旺盛な部分がある。途中で飽きて、どっかに行ってしまう可能性はなくはない」。“新谷節”で42・195キロへ挑戦を否定した。

専門はあくまで、13年世界選手権モスクワ大会で5位に入り、20年東京オリンピック(五輪)の標準記録も突破している1万メートル。今後はスピードを引退前の水準まで戻し、世界トップレベルと渡り合うことを目指す。日本選手権で3位以内なら、東京五輪の代表に決まるが、優勝はもちろん圧勝しか眼中にない。「決めるところを決めなければ、代表選手ではないと思う。しっかり圧勝という形で、日本代表を手にして戦いたい。普段から新谷さんは怖いと言われているので、それと同じように誰も寄せ付けないような形で、レースを展開していきたい」と語った。

新谷は14年に1度現役を退き、事務職のOL生活を経て、18年1月に復帰していた。26日の大阪国際女子マラソンでは12キロまでペースメーカーを務める。