10秒03が9秒台になる!? アシックスは31日、裏にピンがない新スパイク「METASPRINT(メタスプリント)」を4月17日から発売すると発表した。

スパイクの裏はフジツボのような突起がある独特の構造のカーボンプレートになっている。数本配置された金属製のピンで地面を捉えることで、推進力を得る従来の一般的なモデルとは大きく異なるスパイクだ。

アシックススポーツ工学研究所の実験によると、同社の従来型のスパイクと比較すると、1秒あたり6・7センチ前に進めるとのデータも出たという。これは100メートルに換算すると、0秒0048秒速くなることに相当するとしている。もし、このデータが本当なら、今までなら10秒03のタイムだったとしても、9秒台に? そんな革命的なスパイクとなる。

15年夏から始まるコンセプトは、ピンが地面に刺さり、抜ける時間がすらも無くすことだった。それをエネルギーロスと捉え、打破する方法を模索した。それで生まれたのが、ピンを無くすという発想。地面は点でなく線で捉えるように前へ。画期的な一足が誕生した。

アシックスは昨シーズンから男子100メートルの桐生祥秀(24=日本生命)、男子400メートルのウォルシュ・ジュリアン(23=富士通)ら一部のトップ選手に試作品を提供していた。それを履いた桐生は10秒0台を連発し、ウォルシュも世界選手権(ドーハ)で予選、準決勝と自己記録を連発していた。その時から改良も施し、さらに推進力は高まった。

長距離界はナイキの厚底シューズが席巻。トップ選手は薄底という概念は壊された。短距離界でも足元に革命が起こるか注目される。