陸上の世界選手権(ブダペスト)男子100メートルで日本勢歴代最高位に並ぶ6位入賞を果たしたサニブラウン・ハキーム(24=東レ)が、「国立満員」を夢に掲げた。

7位に入った昨年大会に続く2大会連続の決勝では、10秒04をマーク。オリンピック(五輪)も含めた世界大会では、1932年ロサンゼルス五輪「暁の超特急」吉岡隆徳に並ぶ6位で、91年ぶりの快走となった。

開催地のブダペストから羽田空港に降り立つと、視線を先に、言葉に乗せたのは、次の世界選手権への思い。25年、開催地は東京、国立競技場になる。「満員にしたい」。観客に埋め尽くされたハンガリーのスタジアムを眺めながら、競技人生の大きな目標がより、明確になった。

「東京オリンピックが無観客の状態で、自国開催とはいえ寂しい感じの大会だったので。こんな東京で世界陸上をやるなんていう機会なんてめったにないですし、その中で…」。

そう言葉にして思い返した。ブダペストの競技場は平日の午前の競技でも7割ほどが埋まり、夜には連日チケットが売り切れていた。

「ブダペストは3万人、国立競技場はもっと入るんですけど。でも、本当に満員のスタジアムの中で走れるっていうのは、ものすごい選手としてもうれしいですし、それこそ、東京でできたらなっていうのはすごく感じます」。

27日の閉会式の最後には、引き継ぎ式にも参加した。やり投げ金メダルの北口榛花(JAL)、女子5000メートル8位の田中希実(ニューバランス)、男子400メートルで日本記録を更新した佐藤拳太郎(富士通)と4人で参加し、ハンガリーの陸上連盟会長から旗を受け取る際に、「stage is for yours」と告げられた。

「鳥肌が立ちました。満員に埋めて、その中で走るというのは選手としての夢になってくるかなと思います」。

そのために選手としてできる事は、変わらず意欲的に行う。19年11月のプロ転向後に活動の幅を広げ、人気向上に尽力する。6月の日本選手権では準決勝、決勝のチケット約100人分を購入。子供たちをスタジアムに無料招待した。今後もイベントや大会を通じて、普及を目指していく。

「選手共々がパフォーマンスで人気上げるのもそうですけども、いろいろプロモーションもやってくださらないと。サッカーでも、なかなか、国立競技上は埋まらないので」。

観客席の数は6万7750人。ブダペストの倍以上。ただ、新境地を開き続けてきた競技人生と同様、夢は実現させるためにある。

「世界陸上、ケガなく、悔しい結果でしたけど、終えることできて、自分1人ではできなかった結果。応援してくださった皆さまに心を込めて感謝を伝えたいと思います。これからも世界大会は続いていくので応援よろしくお願いします」。

国際大会を転戦する日々は続く。果たす夢は、その先に待っている。