スポーツ×プログラミング教育

“プログラミング的思考”でスポーツを学ぶ

今年4月から小学校で必修化されるプログラミング教育に向け、今月から毎週日曜日は「スポーツ×プログラミング教育」が始まります。これからの時代に求められる“プログラミング的思考”を、スポーツと組み合わせて学びます。まずは昨年11月、このテーマで授業が行われた静岡・袋井市立浅羽北小学校の模様を紹介します。

タグラグビーの実技の授業で1対1を行う浅羽北小の児童たちは楽しそうにプレー
タグラグビーの実技の授業で1対1を行う浅羽北小の児童たちは楽しそうにプレー

時代を超えて普遍的に求められる力

文部科学省は、プログラミング教育について次のように述べている。

子どもたちに、コンピューターに意図した処理を行うよう指示することができるということを体験させながら、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての「プログラミング的思考」などを育むことであり、コーディング(プログラムを書くこと)を覚えることが目的ではない。

そしてプログラミング的思考について「急速な技術革新の中でプログラミングや情報技術の在り方がどのように変化していっても、普遍的に求められる力」と定義している。

浅羽北小学校の6年生約70人に「タグラグビー×算数・プログラミング」の授業が行われた。経済産業省「未来の教室」の実証事業として、昨年11月5日から18日まで計9回。戦略とチームワークが重要なタグラグビーを通じて、算数やプログラミング的思考を学ぶ内容だ。

監修したSTEAM Sports Laboratoryの山羽教文社長は「実技とプログラミングを交互に行うことで、運動の思考や判断力を高めます。走ることや球技が苦手な子どもでも運動が好きになり、積極的に参加できるようになることを目標にしています」と話した。

タグラグビーの実技の授業でルールなどを説明する7人制ラグビー元日本代表の石川安彦氏(中央)
タグラグビーの実技の授業でルールなどを説明する7人制ラグビー元日本代表の石川安彦氏(中央)

1時間目 タグラグビーのルールを確認

11月5日の1時間目はタグラグビーの実技。競技経験がほとんどない児童を指導するのは、7人制ラグビー元日本代表選手の石川安彦氏だ。「ボールを持ってゴールラインまで運べばトライ。パスは前に投げられません。タグを奪うのがタックルの代わりです」などのルール説明や1対1、2対2が行われた。そしてルールを確認しながら、どうなるとトライしづらいか、タグが取りやすいかなどを児童たちに自ら考えるよう促した。

授業の最後には、児童が気づいたことを記録した。ワークシートには「チームワークが大切」や「ラグビーみたいに激しくないからだれでも遊べる」などの感想が記入されていた。

算数的思考を学ぶ授業でボードゲームを行う浅羽北小の児童たち
算数的思考を学ぶ授業でボードゲームを行う浅羽北小の児童たち

2時間目 ボードゲームで算数的思考を学ぶ

11月6日の2時間目は、算数的思考を学ぶ内容。ボードゲームを使い、1対1と2対2で勝てる作戦を考える。狙いは試合状況を俯瞰(ふかん)的に考えられるようになること。

まずは、前日の実技を振り返った。浅羽北小の前田真李教諭が児童に「攻めではどんなときにうまくトライできて、どんなときにできなかったでしょうか? 守りではどんなときにうまくタグがとれて、どんなときにとれなかったでしょうか?」と復習も兼ねて問いかけた。

ボードゲームでは、ペアで攻め手と守り手に分かれて、用意された例題に挑戦した。コマを動かしながら、実技で試したい作戦をメモ。教諭の例題解説でより作戦は具体的になった。実技中に戦略を考えるのは難しいため「ボードゲームは自分のペースでゆっくり考えられるから楽しい」と話す児童もいた。ただ、ボードゲームと実技は異なるだけに、ある児童は「足が速い人と遅い人がいるからゲーム通りにならないこともある」と違いも想定に入れていた。

翌7日の3時間目は再度実技。ボードゲームで考えた作戦を意識しつつ、5対5まで人数を増やしてチームプレーを体験する。(つづく)

算数的思考を学ぶ授業で使用されたボードゲーム
算数的思考を学ぶ授業で使用されたボードゲーム

◆小学校でのプログラミング教育必修化 英語のように教科として増えるのではなく、既存科目に「導入」される。目的は3つ。<1>プログラミング的思考(目的やゴールから逆算し物事を順序立てて考え、結論を導き出し、実行すること)を育む<2>プログラミングの動きやよさに気づき、活用したり、その態度を育む<3>各教科等での学びを確実にする。2020年には約37万人のIT人材が不足すると言われ、幼少時からの育成が急務。21年からは中学校でも実施される。

◆タグラグビー ラグビーからコンタクトやキックプレーを除き、(ボール保持者の)腰につけた2本のタグを取り合いながら、トライを狙う。ボール保持者はタグを取られた時点でパスを行い、タグを返却されるまでプレーに参加できない。取った選手も手渡しで相手に返却するまでプレーに戻れない。

◆株式会社STEAM Sports Laboratory 2018年11月設立。山羽教文代表取締役。本社は東京都港区南青山。子どもたちの「主体的・対話的かつ深い学び」を引き出すために、スポーツシーンにおける問題・課題を教材にした「新たな学びの場」の創出を目指している。

今年4月から小学校で必修化されるプログラミング教育に向けた連載です。これからの時代に求められる〝プログラミング的思考〟を、スポーツと組み合わせて学びます。

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