静岡北・海野、競輪選手の父と挑む 自転車高校選抜

親子鷹で上位を目指す。21日開幕の自転車競技の全国高校選抜大会(福岡・北九州メディアドーム)に、静岡北2年の海野有輝(17)が1キロタイムトライアルで出場する。

自転車競技を始めたのは高校に入学してから。「昨年10月の東海北陸信越大会では、他県とのレベルの差を痛感した」と言うように、まだまだ成長途上の段階だ。それでも「全国選抜は大学の推薦をもらうために入賞(8位以内)する」と目標を掲げ、自転車漬けの毎日を送っている。

海野の父は現役競輪選手の海野敦男(47=静岡69期)。しかし、中学時代までの海野は自転車とは無縁の生活。それどころか競輪を嫌っていた。その原因は父との関係にあった。父は競走や合宿で留守がちで、たまに家にいたとしても、落車でケガをしている時。思春期の息子が父の職業を嫌っても仕方がない。

しかし、16年12月に海野家を激震させる出来事が起こった。父が早朝の街道練習中にトラックにはねられ、生死の境をさまよった。これで海野の心境に変化が生まれる。翌年4月、高校に進学すると「おやじを超えたい」と宣言し、嫌っていたはずの自転車部に入部。自転車は親子のわだかまりを軟化させてくれた。「自然と会話が増えたし、父は練習にも付き添ってくれるようになりました」。

4月に父は復帰できたが、ケガの後遺症で成績は低迷。それでも「自分がおやじにしてもらったことは、息子にもしてやりたい」と時間を惜しまず、息子の指導に情熱を注いだ。そのかいあって、海野は競技歴わずか2年で全国大会の県代表にまで選出された。

かつて大嫌いだった父は、最高に心強いコーチとなってくれた。「父がいなかったら、ここまで強くはなれなかった」と、今では照れずに感謝の言葉を口にできるようになった。

雨降って地固まる。海野親子が二人三脚で臨む全国選抜大会が、いよいよ始まる。【松井律】

◆海野有輝(うんの・ゆうき)2001年(平13)7月16日、静岡市生まれ。静岡北高進学と同時に自転車競技を始める。18年はチームパシュートでインターハイ出場。1キロタイムトライアルとチームパシュートで東海大会に出場。秋の新人戦で1キロタイムトライアル2位、スプリント2位、競輪3位の好成績を収め、全国選抜の静岡県代表に選出。身長173センチ、体重71キロ。血液型A。趣味はテレビゲーム。

◆海野敦男(うんの・あつお)1971年(昭46)6月8日、静岡市生まれ。A級1班。日本競輪学校69期を7位で卒業。92年4月にデビューし、翌年8月にS級昇格。G1日本選手権に8度出場するなど、26年間にわたりS級でガッツマーカーとして活躍した。通算成績2401走、1着301回、2着300回、3着301回(7日現在)。身長175センチ、体重86キロ。血液型A。

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  • 父が見守る中、ワットバイクで練習をする海野有輝