BMXフリースタイル・パークの中村輪夢(17=ウイングアーク1st)が、東京オリンピック(五輪)「前哨戦」の予選をトップ通過した。東京五輪のメダル候補が集まった混戦の中、中村はランとベストトリックの合計で103点(120点満点)を獲得。世界ランク1位のローガン・マーティン(26=オーストラリア)らライバルを抑えて26日の決勝に進んだ。スケートボード・ストリートの堀米雄斗(21=XFLAG)もトップで決勝進出を果たした。

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中村のラン2本目、中央のセクションで高く飛び出すと、横に1回転しながらハンドルを4回回す超絶技をみせた。「早い順番で他の状況が分からないから、少しでも点を伸ばそうと思った」と振り返った点数は87点(100点満点)。1本目の81点を大きく上回って、トップに躍り出た。ベストトリック(20点満点)でも16点を出し、首位の座を守って決勝に進んだ。

前日の公式練習、わずか30分で転倒して会場を後にした。「ひじと腰と足首を痛めて」。この日の朝までは出場を迷ったほど。それでも「日本だし、多くの人に滑りを見てほしい」と痛み止めを打ち、華麗なトリックで大歓声を浴びた。「最初はちょっと怖かったけれど、大会でテンション上がっていたので痛みはない」と笑顔で言い切った。

17年6月、東京五輪の新種目に決まった時は、シニアの大会に参戦した頃だった。「五輪に出たい」が夢だったが、その後に急成長。昨年ワールドカップ(W杯)総合優勝、Xゲーム準優勝など2年半で「五輪で1番になりたい」が現実的な目標になった。「予選がいい練習になった。決勝は今日よりいい走りをしたい」。中村は優勝と、それに続く東京五輪の金メダルを見据えて言った。

○…101点で中村と2点差の3位につけた世界ランク1位のマーティンは「きのうクラッシュして練習していなかったのに、リムはすごい」と、中村の走りを絶賛した。もっとも、昨年のXゲーム覇者で「世界最高のパークライダー」と呼ばれるプライドで「決勝にはパワーを残してある」とニヤリ。「明日は明日のプランがあるよ」と逆転で優勝賞金1000万円獲得に自信をみせていた。