■スタートは午前、何時間前にどんな食事がベスト?

 ほとんどのマラソン大会の場合、スタートする時刻は午前中だ。そのため、前日の夕食は早めに済ませ、食べ過ぎないことが大切。また、アルコールも控えた方が懸命だ。

 さて、いよいよレース当日。できればスタートの4~5時間前には起床したい。朝食をとってから完全に消化されるまでには3~4時間程度が必要となる。その時間を逆算し、午前9時スタートであれば、午前4~5時起床が望ましい。日頃の生活から比べると少々キツイかもしれないが、可能であればレース数日前から生活のリズムを調整しておくと良いだろう。朝ごはんは主食と果物をメーンに。「コンビニ食で済ませるのであれば、たとえば私だったら梅と昆布のおにぎり。塩分も適度にとれますし、胃に負担がかかりにくい。あとはおみそ汁で塩分をとりながら体も温めて。果汁100%ジュースを飲んだり、好きな和菓子をひとつ食べても良いですね。全部で600キロカロリー程度になると良いです」と松崎さん。反対に、注意しなければならないのは消化に悪い食べ物や、食べ過ぎだ。「おにぎりでも、牛肉巻きのような脂っこいものは消化を遅らせてしまいます。あと、炭水化物をたくさんとろうと意識しすぎてごはんをおなかいっぱいに食べてしまっては逆効果です」。宿舎などで“おかわり自由”の朝食をつい食べ過ぎてしまうという人は我慢が必要だ。また、主食は消化の良さを考えてうどんなどもおすすめ。あと、生モノは控えた方が良いだろう。

■験担ぎに「とんかつ」や「うなぎ」は…アリ?ナシ?

 ところで、レース前に験担ぎとして「とんかつ」や「うなぎ」を食べるというランナーもいるかもしれない。しかしとんかつは脂が多く消化に悪いので、前日や当日の朝に食べるのはおすすめできない。うなぎも、ビタミンAやカロテンなどが豊富だが、これらの栄養素はマラソンには特に必要というものではない。「持久力維持に効果的なビタミンB群も含まれますが、フルマラソンに必要な量をとるためにはかなりの量を食べないといけないし、脂も多く消化に悪いというデメリットもあります。それだったら栄養はサプリメントで補う方が良いですね」とのこと。とはいえ、“験担ぎ”として少量食べる程度なら、それほど深刻に考えなくても良いのだそう。「モチベーション向上になるのであれば、食べてはいけない、というものではありませんよ」。

 さて次回はいよいよ最終回。レース中の正しい栄養補給や給水の仕方、そしてレース後のケアなどについてお伝えしたい。

◆松崎愛(まつざき・あい)
 株式会社明治 栄養営業本部
 スポーツ栄養マーケティング部 マーケティングG マラソン担当
 07~08年全日本男子柔道の栄養サポートを担当し、07年ブラジル世界選手権、08年北京五輪に帯同。その後、楽天野球団ジュニア育成担当、ジャイアンツアカデミーのジュニア育成に従事。Jリーグ下部組織(契約チーム)への栄養情報普及活動の他、バレーボール元日本代表の山本隆弘氏の栄養サポートを担当。現在はVAAM・ザバスのブランド担当として活動している。