帝京長岡(新潟)が4位に終わった。北信越対決となった3位決定戦で北陸学院(石川)に49-59で敗れ、29大会ぶりの県勢最高成績には並べなかった。マリ人留学生のディアベイト・タヒロウ(3年)は、ディフェンスに囲まれながらも28得点。ところが3点シュートはチーム全体で29本放って成功は4本のみと、“らしさ”を見せられずに終戦。それでも県勢では04年の新潟商以来、12年ぶり2度目の4位で、後輩たちに全国Vを託した。

 1度失った気迫は、3位決定戦では戻ってこなかった。福岡第一と2度の延長にもつれた前日28日の準決勝で、帝京長岡は心身とも力を使い果たしていた。第2クオーター(Q)までは26-21とリードしたが、第3Qで逆転されると、再逆転する余力は残っていなかった。北陸学院の大倉颯太(2年)がボールを胸に抱え込んで試合終了の瞬間を待つと、誰もチェックに向かわなかった。

 狙っていたのは高校日本一。「3位決定戦はモチベーションを上げるのが難しかった。昨日の準決勝で出し切った、という感じもある」とSG神田大輔主将(3年)は話した。体力、気力がすり減った中でのゲームに、持ち前のシュート力も半減した。3点シュートは29本放って、決まったのは4本のみ。成功率13・8%は今大会5試合でワーストだった。9月から今大会までに与えられたテーマ「2万本のシュート決定」をクリアしてきたメンバーだが、この日は精彩を欠いた。

 インサイドのタヒロウは徹底した複数マークを受けながら、それでも力強く得点を重ねた。「点を取る人に寄ってくるのは分かっていた。(ディフェンスが)集まってくるのは、楽しかった」と激しい当たりにもイラつかなかった。そんな「タヒロウの色が濃いチーム」(柴田監督)のカラーを薄めるために、磨いてきた外角のシュートがほとんど不発。内外のバランスを欠き、本来の勢いが出なかった。

 先発には2年生が2人。PG祝(ほうり)俊成とSG池田大雅が、次代のチームの核になる。「3年生にすごい経験をさせてもらった」と話した祝が来年、下級生たちを全国舞台に連れてくる役目を担う。タヒロウは「私たちはこれで最後。後輩には私たちができなかった優勝をしてほしい」と、かなわなかった夢実現を託した。【涌井幹雄】