水泳ニッポンの東京五輪金メダルラッシュへ、本格的な高地トレーニング用プールが誕生する。長野県東御市と日本水泳連盟などによる高地トレーニング拠点・プール施設整備推進委員会は26日、同市で会合を開き、標高1750メートルの湯の丸高原に、国内初の高地トレ用プールを3年間の期限付きで整備することを決めた。18年末の完成を予定する。

 東御市の高地プール構想は13年からあった。国にも働きかけていたものの、約40億円という建設費がネックになっていた。「高地プール誘致」を目指す花岡利夫市長(66)が昨年4月の市長選で3選。東京五輪まで時間がないことから、より現実的な「仮設」プールの建設で調整に入っていた。

 「仮設」とはいえ、国際大会も開催可能な8レーンの50メートルプール。それでも費用は約12億円と大幅に圧縮される。「ふるさと納税と企業版ふるさと納税で賄う。それほどハードルは高いとは思っていません」と花岡市長。北陸新幹線や上信越自動車道で東京から2時間半、宿泊施設、医療施設も整う。「日本水泳界の役に立てば」と、同市長は期待を込めて話した。

 国内の高地トレ施設にはプールがなく、日本競泳陣は米国やスペインで高地合宿をしていた。日本水連の青木剛会長(70)は「今は通年で高地トレが行われる。費用がかかり移動が負担になる海外に比べ、利便性は高い」と期待する。東京五輪に向けて、東御市と日本水連が目指すのは「湯の丸からセンターポールに日の丸を」だ。

 ◆東御市◆ とうみし。2004年(平16)4月、小県郡東部町と北佐久郡北御牧村が合併して誕生。長野県小諸市と上田市、群馬県嬬恋村と隣接する。クルミの生産日本一、日照時間の長さを生かしたワイン造りも盛ん。NHK大河ドラマ「真田丸」では同市の海野宿が注目され、伝説的力士の雷電為右衛門の出生地としても知られる。人口約3万人。