日本ハンドボール協会の内紛騒ぎが、長期化する可能性が出てきた。日本協会は30日、都内で臨時理事会を開催。6月24日の評議員会で決まるはずだった新体制への移行が、10月にずれこむことが確認された。

 新体制へ移行が先送りされたのは、渡辺佳英会長から蒲生晴明副会長兼専務理事らへの解任が提議されたから。今月8日の臨時理事会でコンプライアンス違反の疑いについて調査委員会と第三者委員会の設置を決め、7月いっぱいまででの収束を目指していた。

 ところが、第三者委員会の調査はこれから。報道陣に対応した大橋則一常務理事は「7月中の解決をもくろんだが、そうはいかなくなった」と説明した。8月末をめどに出る調査結果をもとに、臨時理事会、役員選考委員会を経て9月30日か10月1日の評議員会で新体制スタートという青写真だが「はっきりと、いつとは言えない」と、さらに遅れる可能性があることを否定しなかった。

 同常務理事によれば、解任提議に至ったのは「不適切な支払い処理があったから」。仮にそれだけなら、判明した時点で修正し、本人に注意すれば済む話。しかし、この件を渡辺会長が知ったのは評議員会開催の前夜だったという。本人にはもちろん、他の理事への説明もないまま、いきなりの解任提議。大橋常務理事は「もう少し早く分かっていれば違っただろうが、時間がなかった」と、騒動に至った経緯を説明した。

 前日29日に日韓戦でファンを熱くさせた男女の日本代表は、国際大会や欧州遠征を控える。高校総体をはじめ多くの国内大会も行われる。多忙な8月に、平野祐司事務局長が出勤停止になっている協会事務局は機能まひに陥っている。

 日本オリンピック委員会(JOC)や日本スポーツ振興会(JSC)スポーツ庁などに「中間報告はしている」(大橋常務理事)というものの、最悪の場合は補助金の停止など強化への影響もありうる。さらに混乱が続けば「自浄作用がない」として、外部から会長など役員が送り込まれることも十分考えられる。

 日本代表は東京五輪に向けてスタートを切ったが、それを支える協会は内紛状態。改革は急停止し、さらに「空白期間」が3カ月も続く。「現場に影響しないように、これを乗り切らないといけない」と大橋常務理事は話したが、このゴタゴタの原因を作ったのは他でもない協会自身だ。