フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第3戦中国杯が今日3日、北京で開幕する。2日、本番リンクで行われた女子の公式練習では、18年平昌(ピョンチャン)五輪を目指す本田真凜(16=大阪・関大高)三原舞依(18=シスメックス)樋口新葉(16=東京・日本橋女学館高)の日本勢が同組で40分間の最終調整に励んだ。五輪代表を争う3人は対抗心を封印。静かに火花を燃やしながら、決戦の時を迎える。

 関係者のみの北京・首都体育館は、1万8000席がガランとしていた。午後3時55分。本田、三原、樋口の3人と、ロシア勢3人がリンクに足を踏み入れても歓声はない。平昌五輪の女子代表2枠を争う女子高生たちは、言葉を交わすことなく黙々と練習した。

 本田からはいつもの柔らかい雰囲気が消えた。GPデビュー戦だった前週のスケートカナダではショートプログラム(SP)10位と大不振。SP「ザ・ギビング」をかけての練習では、冒頭の連続3回転ジャンプの1本目をルッツから難度を下げたフリップに変更。攻めの構成だった前週から元に戻し「確実にいきたい」と勝負にこだわる。周囲を滑るライバルの姿にも「自分のことで精いっぱい。他の人は見られない」と見入ることはなかった。

 今季GP初戦の三原は冷静だ。1年前の中国杯を懐かしむように、曲を流してのフリー「ガブリエルのオーボエ」ではノーミスで仕上げた。トゥクタミシェワ(ロシア)の上半身の使い方を参考にする余裕もあった。他の日本人への意識は「心強くて、楽しみが大きい」とし「自分は自分で集中したい」。勝負師の顔を表に出すことはない。

 第1戦のロシア杯で3位に入った樋口は「日本人選手よりも、他の国が気になった」と視線をロシア勢に向けた。6人しか進めないGPファイナル出場へ、今大会で2位に入れば昨季の進出ライン(24ポイント)に乗る。「できれば1位か2位を取りたいし(合計)210点は超えたい」。静けさと一緒に封印した3人の喜怒哀楽が、いよいよ爆発する。【松本航】