世界109位のダニエル太郎(25=エイブル)が大金星だ。元世界王者で4大大会12度の優勝を誇る同13位のノバク・ジョコビッチ(30=セルビア)に7-6、4-6、6-1のフルセットで勝利。初めてトップ20から勝ち星を挙げ、ツアーでは錦織圭に次いでジョコビッチを破った2人目の日本男子となった。3回戦で同47位のマイエル(アルゼンチン)と対戦する。

 目の前で、ジョコビッチが放ったフォアのショットがラインを割った。その瞬間、ダニエルは膝を折り、両手で顔を覆った。日本男子2人目のジョコビッチ撃破。「最高の気分だ。最後まで決して諦めなかった」。何度も右手を突き上げた。

 勝敗を分けたポイントは2つだ。最初は第1セットに2-5と追い詰められた時だ。ここでセットポイントを1本握られた。しかしそれを逃れると、そこから反撃。最後はタイブレークで先取した。

 2つ目は最終セットの第1ゲームだ。自分のサーブで2本連続のブレークポイントが相手にあった。そこを逃れ、しっかりとサービスキープ。先行することで、第2セットを失い、相手にいきそうな流れを食い止めた。

 昨年10月に、14歳から学んでいたスペイン・バレンシアから日本に拠点を移した。「コーチとのけんかが絶えなかった」。同時に課題だったサーブとフォアの改良に着手。サーブはスピードを上げ、フォアはコンパクトなフォームにした。

 1月の全豪は初戦で敗退した。しかし、「多くを改良中。今は勝てなくてしょうがない。いつか勝てることを信じてやりたい」。その結果が「人生最高の勝利」として結びついた。

 確かに、ジョコビッチは絶不調だった。鉄壁の守備で王者に君臨していた相手が、ダニエルの倍近い61本の凡ミスを犯した。1月の全豪後、2月に右肘の手術をして復帰戦。ただ、下位の選手が上位の相手と対戦すると、往々にして名前負けをするものだ。「最後は勝ち切った。自分を誇りに思う」。

 錦織が体調不良で欠場。杉田、西岡は接戦で敗れた。しかし、日本男子にはダニエルがいる。