柔道の最軽量級の世界王者が、全日本王者に挑戦状をたたきつけた。男子60キロ級世界選手権覇者で体重無差別で争う全日本選手権(29日、日本武道館)に初出場する高藤直寿(24=パーク24)が、「打倒王子谷剛志」を目標に掲げた。

 19日、東京・多摩市の国士舘大での男子強化合宿に参加し「1つ1つ勝って(決勝で)王子谷選手を倒したい。運も味方にして奇跡を起こしたい」と闘争心を燃やした。

 大会3連覇を狙う王子谷は高藤の1歳年上で中学から大学まで一緒。身長差26センチ、体重差85キロもある“大先輩”だが「全日本で勝つための対策は万全。準備を怠らず、自分の柔道をすれば結果はついてくる」と自信をのぞかせた。最軽量級選手が出場するのは極めて異例で、体重は減量前の66キロ程度で臨む予定。この日も積極的に重量級選手と組み合って手応えをつかんでいた。

 欧州単身修行から帰国した3月中旬、出場を決意した。「小さいころから全日本への憧れが強かった。自分の階級で五輪金メダルと全日本の舞台で戦うことが夢だった。その夢をかなえたかった」。

 全日本選手権は前年の五輪や世界選手権優勝者には地区予選が免除され「推薦選手」として本戦出場資格が得られる。しかし、軽中量級選手は故障のリスクが高まるため敬遠しがちだった。9月には世界選手権(アゼルバイジャン)も控えるが「全日本に出るからには勝ちにこだわるし、覚悟を持って戦う。全て自己責任です」と決意を語った。