優勝を告げる笛をかみしめる桐蔭学園の藤原秀之監督(51)の目から、光るものがあふれた。「じ~んとしちゃって」と照れながら「ちょっと長かった」。就任18年目、監督として15度目の花園、7度目の決勝で初の単独制覇。「2度と勝てないのではと思ったことも。花園の神様が勝たせてくれました」と話した。

02年に監督に就任し、いいと思ったものは何でも取り入れた。「関東のレベルを上げたい」と強豪の試合数を増やす関東スーパーリーグを創設。海外の指導法を学び、普段の練習から工夫した。判断力や考える力を大事にした。一昨年には母校・日体大のレスリング部で体の使い方を学び「目からうろこでした」。

今大会では3回戦の県浦和戦から相手を分析。戦力や戦術ではなく、街のこと、学校の沿革、特徴…。運動会やマラソン大会など学校行事まで。そのラグビーを生んだ背景を知れば、より相手を理解することができる。「リスペクトするには相手を知ること。浦和だって、進学校というだけじゃないはず」。最初はスタッフが調べ、準々決勝以降は選手たちが担当した。

「ラグビーが全てじゃない」は口ぐせ。「続ける者も、他の道に進む者も、次のステージで生かしてほしい」と話し「卒業生が、いろいろな分野で活躍してくれているのがうれしいんです」と目を細めた。「選手に教わることは多いですね。彼らが頑張っているから、それ以上に頑張らないと、と思うんですよ」。悲願の単独優勝を果たした監督は「先生」の顔で選手に感謝した。【荻島弘一】