元関西学院大学のエースQBで18、20年にミルズ杯(年間最優秀選手)を受賞した奥野耕世(23)が、現役引退を撤回して社会人リーグデビューを果たした。

第1Qから出場。積極的にパスを試みるも不成功が続いた。それでも第3Qには17ヤードパスを成功させると、第4Qにも26ヤードのパスを通した。チームはタッチダウン(TD)を取ることが出来ず、完封負け。初白星はお預けとなった。

公式戦は関学大の一員として臨んだ1月3日のライスボウル・オービック戦以来となった奥野は「アメフトって難しいですね。でもシンプルに楽しいです」と笑みを浮かべた。

18年5月の日本大学との定期戦で、社会問題にもなった「反則タックル」を受けた当事者。学生時代は甲子園ボウル3連覇に貢献するなど輝かしい実績を残した。ライスボウルを最後に現役引退を決意。後輩に練習着なども譲ってしまうほど、区切りをつけていた。卒業後は関西のテレビ局に入社し、カメラ部に配属。仕事に奮闘する日々を送っていた。

6月に関学大の先輩でもあるDL斉藤圭吾(25)から「一緒にやろう!」と熱い誘いを受け、ホークアイの練習見学に行くことになったという。そこで明るく楽しそうにプレーする雰囲気に「いいな」と思い、再びユニホームを着ることを決意。新加入し週1回だけ、日曜の練習に参加した。7月4日には練習試合に出場。リーグ戦に向け準備してきた。

この日、社会人としてのデビュー戦の自己採点は「20点です。ケガをしなくて良かったくらい」と苦笑い。次戦(23日、サイドワインダーズ戦)に向けて「もっと練習して、コンビネーションを良くしたいです」と意気込んだ。

一度は引退を決断した元大学アメフト界のスターQBが、再びグラウンドに戻ってきた。【三宅ひとみ】