日本大(日大)は6日、違法薬物事件を起こしたアメリカンフットボール部の部員、保護者を対象とした説明会を初めて開催した。都内の本部で午後7時ごろから約2時間半。出席した部員によると、冒頭に競技スポーツ担当の責任者、沢田康広副学長が「廃部の方針」に至った経緯を説明した。逮捕者が出たこと、まだ事情を知っている部員がいると思われること、専用寮で起こったこと、などを判断理由に挙げたという。

先月28日に学内の競技スポーツ運営委員会が廃部の方針を固めた後、初の直接説明。非公開で行われ、部員61人が現地で、他の選手や保護者ら150人以上はオンラインで参加した。大学側は、調査・再発防止策検討委の益子俊志委員長や中村敏英監督ら指導陣が出席。廃部の方針決定に携わった益子氏は「なぜ自分たちで問題解決できないのか」と学生たちを突き放した一方で「今日は意見を聞きに来た。声をまとめて(林真理子)理事長や理事に届ける」と約束し、大半の時間をヒアリングに充てた。

大学側は18年「悪質タックル問題」から改善がなかった部の体質も指摘。今年7月に未成年の1年生部員が集団飲酒した件も問題視し「自浄作用が働かないのに『アメフトを続けたい』は無理がある」と伝えた。反対に一部の1年生部員からは、昨年来くすぶっていた大麻疑惑について「(当時高校3年で)知るわけがありません。隠した大学に問題があるのに、学生に責任を押しつけるのはおかしい」などの反論もあった。

このほか、生活を見直して再出発することを切実に訴えた部員や、第三者委員会の調査報告書では無関係の学生の責任が問われず、大学側の責任が問われているのに、なぜ廃部にして学生だけに犠牲を強いるのか問う保護者もいたようだ。

肝心の存廃決定時期に関しては示されなかったが、今後、部員が大学の執行部や理事に対して直接説明する場は設けられるという。一方、事件対応を誤ったとして今月末で辞任する予定の沢田副学長が「もう君たちに会うことはないですが」と言い放ったり、中村監督が唐突に辞任の意向があることを表明したり、最後はカオス状態で終わった。

学内で承認された「廃部の方針」を巡っては、今月1日の理事会で協議されたが「反対者が多くいた」(沢田副学長)ことで「継続審議」に。林理事長は、決断の時期について「できるだけ早いうちに」と4日の会見で明言を避けている。

不死鳥フェニックスを愛称に持つ日大アメフト部は1940年(昭15)創部。学生日本一を決める甲子園ボウルで関東最多21度の優勝を誇る名門だが、今年8月以降、違法薬物事件で警視庁薬物銃器対策課から3人の現役部員が逮捕され、新たに1人が書類送検。4人が摘発されている。その後、潔白を訴える1~4年の部員13人が廃部方針撤回の要望書を提出していた。