埼玉パナソニックワイルドナイツ(埼玉)が後半に地力を示す“お家芸”で、開幕4連勝を飾った。

キックの攻防などトヨタヴェルブリッツ(トヨタ)に攻め込まれる時間帯が続いた前半は、40分までに5-27と22点ビハインド。42分に日本代表SO松田力也(29)のPGで8-27とし、前半を折り返した。

ハーフタイムに劣勢の原因が擦り合わせられた。陣取りで優位に立った相手は、ラックにあるボールを持ち出すピック&ゴーを多用。タックルは受ける場面が目立ち、最後は外のスペースが空いていた。防御時に自分がマークする相手を伝える「ノミネート」を早くし、タックルの質を上げていく。

ロビー・ディーンズ監督(64)はコンディション不良の先発FB竹山晃暉(27)に代わって野口竜司(28)を投入し「チーム内に柔軟性があるのは強み。プレッシャーを受けても対応できる」と積極的に交代のカードを切った。

野口は蹴られたボールの競り合いで存在感を示し、徐々に埼玉の土俵へ相手を引きずり込んだ。後半6分には今季限りでの現役引退を表明している日本代表フッカー堀江翔太(37)が投入された。堀江は後半19分にトライ目前まで突破するなどプレー面だけでなく、ベテランらしい振る舞いで試合をコントロールした。

「リーグワンにオールブラックス(ニュージーランド=NZ)、南アフリカ、(南ア代表で静岡の)クワッガ・スミス、(NZ代表で神戸の)サベアとかがいる。お客さんもレフェリーも、もっていかれるんですよね。(21年にNTTドコモに在籍したNZ代表の)ペレナラの時もそう。レフェリーにプレッシャーがかかっていく。リスペクトするのはすごくいいことですが、リスペクトしすぎると、そっちに(判定などの主導権が)流れて良くない」

状況に応じて意思疎通し、プレーに表れない部分でも手綱を握った。後半は攻めては5トライ5ゴールで35得点、守っては無失点。先発フッカーで主将の坂手淳史(30)がかみしめた。

「後半は『入りの10分の精度を大事にしよう』と修正をかけました。ハーフタイムで修正して、相手にプレッシャーをかけられた。勢いに乗れたところに(途中で)入ってきた選手が違いを見せてくれた。堀江さんは落ち着きを取り戻し、(大西)樹はアグレッシブ。いろいろなところで違いを出せる選手がいた」

大型補強を敢行したチームもある中で、この日の埼玉は登録23人全員が昨季までも在籍していた面々だ。場内で解説を務めたOBで元日本代表の福岡堅樹さん(31)が「久しぶりのワイルドナイツ劇場」と後半の強さをたたえた一方、21日で38歳となる堀江は、言い聞かせるように口にした。

「クロスゲームを勝ったのは大きい。でも『前半負けていても(得点を)取れる』と思うのはダメですね。いい教訓にせなアカン」

リーグ戦16試合の4分の1が終わり、5月の終了時に上位4チームがプレーオフに進む。2季ぶりの奪還へ満足はない。【松本航】