【重慶(中国)=勝部晃多】ショートプログラム(SP)2位発進の渡辺倫果(23=三和建装/法政大)が、銅メダルを獲得した。フリー124・62点の合計198・63点で表彰台に踏みとどまった。同じ千葉のMFアカデミーを拠点とし、シリーズ第1戦フランス大会を制した中井亜美の言葉を力に変えた。26年2月のミラノ・コルティナ大会で五輪初出場を目指し、ここから調子を上げていく。
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渡辺が、キス・アンド・クライで顔を覆った。得点の横に表示された順位を示す数字は「2」。残るは最終滑走のリュウのみだった。表彰台確定に「ちょっとやばいと思っていたけど、ひとまず表彰台に食い込めてよかった」と安堵(あんど)感が込み上げた。
耐えた。冒頭でトリプルアクセル(3回転半)を降りたが、コンビネーションでつけた3回転トーループで転倒。それでも気を緩めず、3本目に再び「プライド」と語る大技に果敢に跳んだ。着氷が乱れたものの締め切り、4位とは0・75点差で逃げ切り。「細かい部分の積み重ねがギリギリのところでとどまってくれた」と胸をなで下ろした。
6歳年下の妹分からバトンを受け取った。後輩の中井がフランス大会で自身以来となるGPデビュー戦優勝の偉業を達成。大会前、緊張感からナーバスになる中井の姿を見ていただけに、思いはひとしお。「自分に打ち勝ってくれた」とうれしかった。一方で、自身は直前のチャレンジャー・シリーズで7位に沈み、競技から身を引くことを本気で考えていた矢先。ともに3回転半を武器とする共通点もあり「負けていられない。私も自分に打ち勝たなければ」と、“姉”としてのプライドに火が付いた。
出国前最後の練習に参加した22日、帰国した中井と10分間だけ話した。「次は倫果ちゃんの番だから!」。背中を押され、決意は固まった。24日のSPで自己ベストを1・43点更新。それでも、口から出たのは「(78点台を出した)あの人はマジすごいよ!」と、尊敬と悔しさが入り交じった言葉だった。仲間でありながら五輪の出場権を競うライバル。また一段上の世界に引き上げてくれた。
夢舞台へ、12月の全日本選手権まで3枠争いは続く。次戦はGP第5戦スケートアメリカ(11月15~17日)。「今週は人生で一番良い練習を積めた。それを越えられるくらい積んでいく」。迷いなく、自分の道を進んでいく。


