ラグビーのワールドカップ・フランス大会で、日本代表(世界ランク12位)は2大会連続の8強進出をかけ、8日(午後8時開始)にアルゼンチン(同9位)との1次リーグ最終戦に臨む。
生き残りをかけた運命の一戦で初先発するのがWTBシオサイア・フィフィタ(24=トヨタヴェルブリッツ)だ。勝利または日本のみが4トライ以上を挙げての引き分けの場合、決勝トーナメント進出が決まる。
勝負のカギはスクラムなどフォワード(FW)の安定性とともに、バックス(BK)が前への推進力を出せるかにかかる。
4年前の19年日本大会は松島幸太朗と福岡堅樹の両WTBが“ダブル・フェラーリ”と呼ばれる活躍で勝利の原動力になった。ケガなどで出遅れたフィフィタが、日本の救世主になれるか-。
W杯前のインタビュー。真っすぐに前を向き、流ちょうな日本語で力強く語った。
「世界のナンバーワンになりたい。今の日本だったら、なれる自信はありますし、なれると思います」
トンガで育った中学時代、スカウトをされて日本へ渡る決断をした。当時は陸上・短距離の選手。ハードル走で全国大会で優勝した経験もある。
タッチフットをしていた程度で、ラグビーは初心者に近かった。日本航空石川へ入学した当時を「まだ体はガリガリでしたよ」と振り返る。
「最初は家族と離れて、寂しくて仕方がなかった。今はクボタにいる(NO8の)マキシが3年生で、2年生にはファカイ(現昭島)。トンガから来た先輩がいたから助けられた。体重は70キロよりも小さくて、代表に入るなんてまだ考えてもいなかった。高校2年の時(15年大会)に南アフリカに勝ったのを見て、日本代表になってW杯に出たいと真剣に思った」
天理大を20年度に大学日本一へ導き、近鉄(現花園)を経て、今季からトヨタへ。毎月、故郷の家族への仕送りは、欠かしたことがないという。
「家族への恩返し。楽をさせてあげたいですから」
憧れは元ニュージーランド代表WTBで95、99年大会トライ王のジョナ・ロムー。15年に40歳で急逝した世界的英雄のルーツは、トンガにある。
「僕のヒーロー。ロムーみたいな活躍をしたい」
愛するトンガの家族へ、育ててくれた日本へ-。
勝利を届けたい。【益子浩一】
◆シオサイア・フィフィタ 1998年12月20日、トンガ生まれ。高校1年で来日し日本航空石川から天理大へ。19年にサンウルブズのスコッド入り。21年に近鉄ライナーズ(現花園)とプロ契約。今夏にトヨタへ移籍した。日本代表は21年に初選出。CTBとWTBをこなす。187センチ、105キロ。




