西日本新聞支局長がカメ殺しで書類送検
西日本新聞社(福岡市)の伊万里支局長(39)が、ワシントン条約で商取引が禁じられている希少動物のホウシャガメ(マダガスカルホシガメ)を購入した上に殺したとして、種の保存法と動物愛護法違反容疑で福岡地検に書類送検されていたことが18日、分かった。カメを買ったペット店の店主が今年1月に逮捕されたことを知り「まずいと思い死なせた」と、供述している。
福岡県警の調べによると、支局長は02年12月、福岡市内の爬虫(はちゅう)類専門店経営、深沢一馬被告(51=種の保存法違反などで逮捕、起訴)から、ホウシャガメ1匹を購入。今年1月に店が摘発されたことを知った後に、カメを殺し処分した疑い。深沢被告の逮捕後に同県警が販売先を調べたところ、支局長を含めた数人がカメを買っていたことが判明した。
支局長は事実を認めており「店主が逮捕されたことを知ってまずいと思い、カメを死なせた」と供述している。「条約違反だとある程度知りながらも、買ってしまった」とも述べ、謝罪しているという。支局長は昨年夏に伊万里支局に転勤。動物が好きで、転勤先でもカメを大切に育てていたという。
種の保存法(譲り受け)は3年の時効が成立しているが、支局長が店の摘発後にカメを殺していたため、同県警は今月に入って書類送検に踏み切った。
ホウシャガメは、アフリカのマダガスカル島南部などに生息。体長10センチ前後、ドーム状の甲羅や放射線状の模様が特徴で「世界で最も美しいカメ」といわれる。ワシントン条約では学術研究用以外の取引を禁じているが、高値での密売が相次いで摘発されている。支局長にカメを売った店側は逮捕前、客を装った捜査員に「1匹100万円。売ったら法律違反になるので高い」と、希少性を強調していた。
西日本新聞社広報部は「報道に携わる者がこのような法令違反を犯したことは遺憾で、心からおわびいたします」とコメントを発表した。捜査状況を見ながら、厳正に対処するとしている。
[2006/3/19/10:34 紙面から]
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