ショートプログラム(SP)8位の三浦璃来(20)、木原龍一(29)組(木下グループ)が、フリーで自己ベストとなる141・04点をマークし、合計も211・89点の自己記録更新で7位入賞を飾った。日本勢五輪最高だった1992年アルベールビル大会の井上怜奈、小山朋昭組の14位を大きく上回った。
前日のSPでは、序盤の3回転トーループで三浦が2回転となって70・85点。気落ちする三浦を木原が盛り立て、この日のフリーで巻き返しを狙った。「ウーマン」の曲に乗り、冒頭のトリプルツイスト、続けて3回転-2回転-2回転のトーループを着氷させた。スロー3回転ルッツを降りると、スピンを交え、回転不足ながら3回転サルコーもまとめた。演技中は笑顔があふれ、大きなミスなく終えると木原は涙を流した。「りくりゅう」は抱き合い、互いをたたえた。
前日のミスから気持ちを切り替えた三浦は「考えすぎず、思い切って笑顔でやろうと思って滑りました」。木原も「朝の練習で全然合っていなかった。2人で『全ミスでいいんだ。楽しんでやろう』と話し合った」と充実感を漂わせた。
「りくりゅう」の愛称で親しまれる2人は、結果にこだわった。今大会の目標は5位以内。その根底にある思いを、木原が明かしたことがある。
「結果を出していない状態で『注目してくれ』とは言えない。結果を出して、初めてこういった競技を『見てください』と言える。結果を出し続けることが、ペアの未来につながると信じています」
変化を感じた大会があった。今季のグランプリ(GP)シリーズ第4戦NHK杯(21年11月、東京・代々木第1体育館)。SP、フリーともに午後0時台の競技開始だったが、客席を多くのファンが埋めていた。
何よりもその光景に胸が高鳴った。三浦は「本当に満席に近いお客さんがいらっしゃって、心からうれしかった」。違うパートナーと五輪2大会を経験していた木原も「ここ数試合はたくさんの方が駆けつけ、日の丸の国旗を振ってくださっている。これまではシングルの選手が素晴らしく、ニュース番組もほとんど出ない扱いだった。僕たちが結果を残せていなかったのでしょうがなかった」とペア熱の高まりを実感した。
NHK杯でも3位に入り、シリーズ上位6組が出場するGPファイナルへ進出。新型コロナウイルスの影響で大会は中止となったが、世界トップレベルの仲間入りを果たした。一方で「りくりゅう」はカナダを拠点とし、渡航制限を考慮されて全日本選手権には出場しなかった。同選手権は1組のみのエントリー。銅メダルを獲得した今大会の団体戦後、日本スケート連盟の竹内洋輔フィギュア強化部長は「今度は日本国内で、ジュニアから育成していくようなフェーズに進んでいかないといけない」と強化の必要性を語った。何より2人の知名度向上における貢献度は計り知れない。
ペアの新たな時代を切り開いた木原は「今日テレビで見て、ペアに興味を持ってくれた人がいたら。僕たちはまだまだ走り続けます」と宣言した。
強豪の中国での開催となり、北京五輪はペアが競技の最後に組み込まれた。全てを出し尽くし、その名をあらためて世界に売った。【松本航】




