【ミラノ=木下淳】金メダルが確実視されていた今大会で「世紀の失速」といわれるフリー15位、総合8位に沈んだイリア・マリニン(21=米国)が「悪夢」後初の取材対応を行った。
「正直、本当に多くのことを学びました。この五輪に参加して多くのことを学びました。ここに来る前、心に引っかかっていたことが1つありました。それは『どう対処するか?』の問いに『どう答えるか?』でした。正直、こんなことが起きるとは予想していませんでした。でも、浮き沈みはあるものの素晴らしい時間を過ごし、素晴らしい経験ができました。そして、両親とともにここにいることに、心から感謝しています」
五輪のフィギュアスケート競技を締めくくるアイスショーに出演。ジーンズにパーカーという、ラフでワイルドな衣装で「FEAR by NF」を舞い、ジャンプは4回転トーループと3回転ルッツを跳んだ。
「今夜の演技は、このオリンピックに向けて過去1年間、感じ続けてきた感情の延長線上にありました。ストレスも、周囲からのプレッシャーも、騒音も、メディアも、思考も、全てが非常に大きなものでした。もはや、アスリートが経験すべきことではないのですが、それでも私たちはそれを乗り越えなければなりません。それは私たちの仕事の一部であり、私たちの役割の一部です。しかし、それは私たちにとって非常に大きな力であり、何が起ころうとも、先ほども言ったように、私たちは立ち上がって前進し続けなければならないのです」
続けたのは「だから、正直、このオリンピックの機会には感謝しています。これが私の最後ではありません。将来はもっと大きな計画が待っています」
万感のフィニッシュシーンでは、演出の一部なのか素なのか、涙をこらえているように見える表情で、歓声を一身に浴びた。取材エリアでは時折、笑みも浮かべながら、とても穏やかに対応していた。
「この場にいることが、スケーターとして、アスリートとして、アーティストとして、どれほど強いかを本当に示しています。私は何も変えようとは思いません。なぜなら、常に『全てのことには理由がある』という言葉を信じているからです。神が、あるべき姿に導いてくれたのです」
本人は男子フリーの後もミラノに滞在。連日、プラクティス(練習)リンクや観客席に姿を見せていた。
世界唯一のクワッドアクセル(4回転半)を含む、全6種の4回転半ジャンプを操るクワッド・ゴッド(4回転の神)。団体で米国の金メダルに貢献した後、個人のショートプログラム(SP)も首位だったが、世界記録を持つフリーで衝撃の15位に沈んだ。
156・33点で、自己ベストの238・24点に81・91点も届かず。合計も264・49点で総合8位。同じく自己記録の333・81点から69・32点も下回っていた。

