男子59キロ級で、西崎哲男(40=乃村工芸社)が138キロの日本新記録をマークした。

 1回目から戸田雄也(35)の持つ121キロの日本記録更新を狙って133キロに挑んだが失敗。その戸田が125キロで自己記録を塗り替えた直後の2回目に133キロに成功した。優勝が確定した3回目に138キロに失敗すると、すぐさま特別試技での再挑戦をリクエスト。完璧なフォームでバーベルをコントロールして審判の白(成功)判定3つを勝ち取った。

 「フォームに悪いところはなかったので気持ち的には楽でした。3回目に腕が少しブレたのを修正すれば、138キロは大丈夫だと思っていました」と西崎は色白の顔を紅潮させながら試技を振り返った。自己ベストは54キロ級の日本記録でもある136キロだった。昨年まで同級を3連覇しており、2階級制覇と自己ベスト更新を果たし、2つの日本記録保持者にもなった。

 昨年のリオデジャネイロ・パラリンピックも、今月上旬のメキシコ世界選手権も54キロ級で出場した。ただ、メキシコから帰国後の調整期間が短かったことで「体重を無理に落とすより、ベストの体調でこの大会に臨むことを選びました」。この日朝になって1階級上への出場に方針転換したが、計量結果は54・4キロで59キロ級の出場選手中最軽量だった。

 今後も54キロ級で20年東京を目指す。「このところ重量にこだわってフォームを崩していましたが、ようやく自分を客観視できるようになってきました」。リオでは3回の試技とも失敗に終わるなど、正確なフォームを重視する傾向が強い国際大会では苦戦が続いていた。それも世界選手権で130、135キロに成功したことで払拭できたという。東京出場には今後の国際大会で好成績を続け、20年2月末時点で世界ランキングの10位以内が絶対条件。そのためには160キロまで記録を上げる必要がある。【小堀泰男】