車いすラグビー日本代表が、東京パラリンピックの1年延期をポジティブにとらえて悲願の金メダルを目指す。日本車いすラグビー連盟は29日、日本代表をケビン・オアー監督(51=米国)とともに指導する三阪洋行アシスタントコーチ(38=バークレイズ証券)へのインタビューの形でチームの現状を明らかにした。

前回の16年リオ大会で銅メダルを獲得した日本代表は、18年世界選手権で初優勝を飾った。池透暢主将(39=日興アセットマネジメント)、池崎大輔(42=三菱商事)のダブルエースを中心に現在、世界ランキング3位。3月には同1位オーストラリア、同2位米国、同4位英国と対戦予定だった“東京前哨戦”のジャパンパラ競技大会(国立代々木競技場)が新型コロナウイルスの影響で中止になった。

現在、代表は活動を休止し、選手たちは個別にトレーニング中。三阪コーチは選手の健康面への影響を心配しつつ「若手選手に経験を積ませ、チームの熟成度を増すことができる」と大会延期をプラスにして、地元での金メダル獲得を誓った。

日本連盟がリリースした三阪コーチのコメントは以下の通り。

-現状、予定しているスケジュールにはどうなっているか

三阪コーチ 年間計画の中で、毎月合宿、または遠征の計画準備はしているが、現状では海外遠征は難しく、国内での合宿についても国、および連盟の方針に準じて実施の可否を判断していくので、現時点では予定はあるが未定という状況です

-選手個々はどうしているか

三阪コーチ 連盟の方針に従い、自宅でのトレーニングが中心です。選手の(障がいの)クラスによっても異なりますが、自宅内で競技用車いすに乗ってのトレーニングは難しいので、筋力トレーニングを中心として、連盟トレーナーチームが各強化指定選手(日本代表候補)とコミュニケーションを取り、トレーニングのサポートを行っています。また、映像による戦術の共有も実施しています

-活動自粛はいつまでになるか

三阪コーチ 現時点ではお答えできません。競技対象者には障がいによる呼吸器系の疾患を持つ選手が多いため、肺炎を患うと重症化しやすいので、より慎重に活動再開の判断が求められます。非常事態宣言が終わったとしても、十分に検討した上での判断になります

-東京パラリンピックが1年延期されたことついての懸念点は

三阪コーチ 主力選手の年齢は他国の主力選手より若干高齢ではありますが、パラリンピック競技は一概に年齢でくくれるものではないので、それほど心配はしていません。進行性の病気を持つ選手については明確なものがあるわけではありませんので判断は難しいです

-1年延期されたことでの利点は

三阪コーチ 若手選手の台頭もあり、その選手たちが1年経験を積む時間がつくれることはとても大きいと思います。また、ケビン監督の戦術の熟成度を増すための時間を与えてもらったとポジティブにとらえています

-パラリンピックの代表選手の選考基準や方法は

三阪コーチ 強化合宿や海外遠征、フィットネスチェックなどでパフォーマンス、およびラインアップでの相性などで評価し、ケビン監督を中心に強化チームで議論を行い、決定されます

-日本パラリンピック委員会(JPC)へ推薦する選手の決定時期は

三阪コーチ 延期に伴い、さまざまレギュレーションが国際パラリンピック委員会や国際車いすラグビー連盟の下で議論されているため、現時点では時期についてはお答えできません。発表自体はJPCが日本代表選手団を発表するタイミングであることに変わりありません

-ズバリ、本番で日本は金メダルを取ることができるか

三阪コーチ リオ大会が終わってからブレずに金メダルを取ることを目標にやってきています。今は世界中がスポーツに打ち込む環境が難しい状況にあり、その中で目標に向かってできることをひとつひとつ積み重ねながら、目標達成のために進み続けるのみですね