女子SU5(上肢障がい)で東京パラリンピック出場を争う世界ランキング5位の豊田まみ子(28=ヨネックス)は、1次リーグを3連勝でトップ通過したが、準決勝で杉野明子(30=ヤフー)に0-2(19-21、16-21)で敗れ、最終日の20日は3位決定戦に回った。

約10カ月ぶりの実戦コート。ただ、豊田には他の選手とは違う、大きな意味があった。「東京は厳しいと思った。もう、バドミントンをしている自分が想像できなくて、やめようかなと思いました」。カムバックをかけた大会だった。

今年2月のブラジル国際大会準々決勝の試合中に左アキレス腱を断裂して緊急帰国し、月末に手術を受けた。その後に新型コロナウイルスの感染が拡大し、東京パラは1年延期されたが、それでも豊田の心は揺れた。「間に合うのか…、出られるのか…」。迷いながら苦しいリハビリを重ねる中、友人、知人の「東京での活躍を期待している」という励ましに背中を押された。

7月末からシャトルを打ち始めたが、今でも以前のフットワークは戻っていない。それでも「もう1度、ケガをしない体づくりを」と初心に帰って汗を流してきた。その成果が出たのは1次リーグ最終戦。東京パラランキング4位の亀山楓(26=高速)をフルゲームの2-1(21-15、18-21、21-15)で倒した。勝利の瞬間のガッツポーズに感情が込められていた。

18年に右ハムストリング付着部を断裂したのに続く、選手生命を失いかねない大けがとの戦い。世界選手権シングルスで金銀銅3つのメダルを手にしたヒロインは復活できるのか。ランキングにつながる国際大会の開催はコロナ禍で流動的だが、「東京パラに出て、メダルを取るのが私の夢だった。戦う準備だけは整えておきたい」と豊田は結んだ。3位決定戦はライバル亀山との再戦になる。【小堀泰男】