障がい者スポーツ専用体育館の日本財団パラアリーナ(東京都品川区東八潮)が、開幕まで半年に迫った東京パラリンピックへ向け、4月1日からパラアスリートに再開放されることになった。

同施設は昨年、新型コロナウイルスの感染拡大に応じて封鎖され、東京都の無症状・軽症感染者のための宿泊療養施設に転用されていた。日本財団・笹川陽平会長(82)が25日に都内で会見し、「コロナ対策が日々変化をしていく中で、ようやく使える状況になった。選手の皆さんには思う存分、汗をかいて大会に臨んでほしい」と明らかにした。

開催へ逆風も吹く東京パラへ強化を進める選手、競技団体にとっては明るいニュースになった。パワーリフティング女子55キロ級の山本恵理(37=日本財団パラリンピックサポートセンター)は「競技キャリアの半分をパラアリーナで過ごしてきた。女子の日本初出場を目指して、ここでトレーニングに励んでいきたい」。車いすラグビー日本代表の島川慎一(46=バークレイズ証券)も「閉鎖になったときは自宅でのトレーニングを余儀なくされ、ベランダにランニングスペースを設置するなど工夫していた。大変ありがたい」と再開を歓迎した。

パラアリーナは18年6月にオープンした。全館バリアフリーで約3000平方メートルの館内には車いすラグビー、同バスケットボール、ボッチャなどのコートが敷設され、ウエートトレーニングルームやミーティングを開ける会議室も用意されている。

昨年4月、コロナウイルスの感染拡大に伴う東京都の医療体制逼迫(ひっぱく)に対応するために封鎖し、ベッド100床が設置されて9月に都に引き渡されていた。しかし、パーティションで仕切られただけのベッドは、宿泊療養を個室とする厚生労働省のマニュアルに沿わず、これまで利用されることはなかった。

なお、日本財団がパラアリーナに隣接する船の科学館駐車場に設置しているプレハブの個室140床は、引き続き宿泊療養施設として運用される。