亡き“母”に、金メダルを届ける。バドミントン女子ダブルス世界ランク1位でリオデジャネイロ五輪金メダル候補の高橋礼華(26)、松友美佐紀(24=ともに日本ユニシス)組が20日、宮城・仙台市内にある母校聖ウルスラ学院英智高で開かれた激励会に出席した。高橋は中学から6年間、松友は高校3年間を過ごし、ペアを結成した思い出の地。13年12月に事故で亡くなった同校の「英智寮」の寮母菅原よし子さん(享年78)へ最高の報告をすると意気込んだ。

 思い出の地では、世界女王の2人も高校生に戻った。高橋が「寮の学習室でお菓子を食べたり、遅くまで起きていた。テスト前は楽しかった」と振り返れば、松友も「テスト期間は練習が短い。鬼ごっことかもしてました」と笑う。ペアを結成した聖ウルスラ学院英智での学生生活にキラキラした記憶が詰まっていた。

 まさかのダブルスだった。同校の田所光男総監督(65)は「高橋は怒ってもはい上がってくる。松友はひょうひょうとしている。性格が違うけど、相性が抜群だった」と組ませた理由を説明。コンビ誕生は06年高橋が高校2年、松友が1年の秋。07年の選抜大会、08年の高校総体で優勝した。伸びしろはあったが「でも五輪にまでいけるほどになるとは」と驚く。松友も「まさかダブルスで世界で活躍できるとは。すごい出会いだなと思う」と笑った。

 吉報を届けたい人がいる。故・菅原よし子さんだ。2人が過ごした「英智寮」の寮母を務めた。気の強い高橋は、反抗した時期もあった。勉強で学校トップだった松友は、4人部屋の仲間に迷惑がかからないよう、こっそり食堂で勉強。菅原さんは黙って見守ってくれた。「中学入学から高校卒業までで身長は20センチ伸びた。手作りのご飯が体作りになった」(高橋)、「五輪の舞台に立てるのを喜んでくれていると思う。良い報告ができるように頑張りたい」(松友)と感謝の念があふれた。

 リオ五輪に向けて、高橋は「10年組んだ思いをぶつけられるようにしたい」と意気込む。見守ってくれた人々のために金メダルをつかむ。【島根純】