16年リオデジャネイロ五輪陸上男子400メートルリレー銀メダリスト飯塚翔太(28=ミズノ)が28日、味の素ナショナルトレーニングセンター(東京・北区)の陸上競技場での練習を再開した。

100メートルを5本走るなどした。練習後は靴を脱いではだしとなり、タータン(走路)を踏み締めたという。公園や自宅の床にはない心地いい反発や独特の感触は、普通に走れることの喜び、そして以前は当たり前だったことの「ありがたさ」を感じさせた。

オンラインで取材に応じ、「いつ競技場で走れるか分からない状況で1日1日過ごしていた。タータンの匂い、感触が懐かしかった。入った瞬間は『ただいま』と家に帰ってきたような感じ。練習した後は気分もよく、元気になった。あらためてトラックで走れてよかった」と振り返った。

練習前には体温を測ることが必要という。他にも「私語があまりできない」「離れて座る」などの制約はある。トラックで走れない期間は、自宅や近所の公園でトレーニングしていた。少し筋力の低下は感じるという。日焼けが少ない白い肌にも自分で変に思う。ただ、閉鎖は解かれ、練習も本格的に再開できる光が見えてきた。日常が戻って来つつある。そして夏以降は徐々にレースも開催される方向だ。11月末までは東京五輪の出場資格対象にならないとはいえ、「レースをしたい」と言葉を弾ませた。

その上で、言葉を選びながら、胸の内も述べた。新型コロナウイルスの恐怖はある。医療機関の大きな負担や「検査を受けられない方も多くいる」と理解した上で「選手として、可能な範囲で、PCRなどの検査を定期的に受けて、本当に大丈夫なのか知りたい。普段、僕らドーピング検査を定期的に行い、クリーンと証明するのと同じように、大丈夫だと分かればうれしい」。WITHコロナの時代。それを認識し、次へと進んでいく。【上田悠太】