コロナ禍の東京オリンピック(五輪)開幕まで3日で50日となった。大会組織委員会の橋本聖子会長(56)が2日、日刊スポーツの単独インタビューに応じ「中止、再延期はない」と断言した。

夏冬7度の五輪に出場した立場から見たアスリートにとっての観客、観戦ルール等に関する一問一答は以下の通り。

―アスリートにとっては、観客がいた方がいいのか

「やはり最高のパフォーマンスをするために日々、鍛えてきたアスリートたちなので。多くの方に見ていただきたいという気持ちは強いだろうなと思う。反対に、すごく鍛えてきて集中力も高いトップアスリートが集う場所ですから、観客がいないことによってパフォーマンスが低下することはないと思う。トレーニングは日々、人がいないところでやっているし、自分自身を高めるためにどうするべきか、を知るプロフェッショナルたちですから。ただ、やはりアスリートとしては最高のものを作り上げてきての芸術作品。直接、多くの方々に見ていただきたい気持ちは強いと思う」

―観客を入れた場合のルールは

「会場内については、オリンピックもパラリンピックも厳しい制約がある。組織委員会が定めた観戦ルール。これに反する行為があった場合、外に出ていただくこと(退場)もある。場内にお酒を持ち込まない、大声を出さない、マスクを外さない、など1つ1つのルールを徹底してやっていく中、お守りいただけない場合は、ほかの多くの方にご迷惑をお掛けすることになるので(警備員の注意などをへて)出ていただく。そうならないよう、丁寧にご協力をお願いしていく」

―選手、大会関係者は

「選手たちも行動管理や規制があり、ルールから逸脱することがあれば、厳しいケースではアクレディ(テーション=大会参加資格証)剥奪までやるつもり」

―通常大会であればどのような50日前だったか

「コロナがなければ、全く違ったことになったと思う。インバウンドも4000万人を目指していたわけなので。相当なにぎわいが、本来の50日前であれば観光客もこの時期からすごいことになっていたでしょう」

―仮に中止になった場合、国際オリンピック委員会(IOC)から損害賠償を求められる可能性はあるのか

「IOCが最後に決定する、とは言いながら、中止という選択肢がないですから。相当な状況に変わってしまったら別だが、海外から誰も来られなくなってしまえば当然、開催自体はできないと思うが、今はそこまでの状況はないと思う」

―損害賠償やIOCの負担金850億円を返還する等も含め「分からない」のが正確なところか

「分からない、ということではなく、まだそういったことをどうするかIOCとの協議も必要。今の段階でお話しすることはない」

◆橋本聖子(はしもと・せいこ)1964年(昭39)10月5日、北海道早来町(現安平町)生まれ。64年東京五輪開会式の聖火に感激した父善吉さんが聖子と命名。3歳でスケートを始める。五輪は冬季にスピードスケートで4度、夏季は自転車で3度の計7度出場。92年アルベールビル五輪女子1500メートル銅メダル。95年参院選自民党比例区で初当選。19年9月から21年2月に組織委会長に就任するまで五輪相を務めた。

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