もののけに取り憑かれた? 7点差をひっくり返し連夜のサヨナラ勝ち…5差に/連載9

横浜DeNAベイスターズの25年…四半世紀ぶりの優勝を祈念する企画連載の第9弾は、巨人に連夜のサヨナラ勝ちです。3回までに7点リードを奪われながら追い付きます。さらに3点をリードされるも、8回に佐伯貴弘がボークによる打ち直しで同点2ラン。最後は波留敏夫が決めました。権藤博監督は「もののけに取り憑かれたようだ」と表現するゲームを制し、さらに勢いをつけました。

プロ野球

斎藤隆が3回7失点KO

横浜ベイスターズが優勝する前年、1997年7月12日に「もののけ姫」という映画が公開されました。

宮崎駿監督によるジブリ作品で、興行収入は193億円と、それまで「E.T.」が持っていた記録を上回る大ヒットになりました。

公開から1年と3日が経った1998年7月15日。巨人との試合を終えた権藤博監督が、この映画にちなんで「もののけに取りつかれたようだった」というコメントを残しています。

まさに、そういう試合でした。

1997年3月、映画「もののけ姫」の製作発表で記念撮影する、左からアシタカ役の松田洋治、サン役の石田ゆり子、宮崎駿監督

1997年3月、映画「もののけ姫」の製作発表で記念撮影する、左からアシタカ役の松田洋治、サン役の石田ゆり子、宮崎駿監督

横浜先発の斎藤隆は、立ち上がりから荒れ模様でした。先頭の仁志敏久に四球を許すと、1死後に松井秀喜に右前打を浴びてピンチを広げます。

ここで4番清原和博にレフトスタンドへ3ランを浴びました。さらに高橋由伸、広沢克実、村田真一、桑田真澄にもヒットを打たれ、この回だけで6安打を浴びて4点を失いました。

3回にも高橋、広沢の連打からピンチをつくり、桑田のタイムリーなどで3点を失います。斎藤隆はこの回でKOとなりました。

序盤で0-7の大差をつけられ、さすがに連勝ストップかと思いました。しかし、そうはならなかったのです。

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編集委員

飯島智則Tomonori iijima

Kanagawa

1969年(昭44)生まれ。横浜出身。
93年に入社し、プロ野球の横浜(現DeNA)、巨人、大リーグ、NPBなどを担当した。著書「松井秀喜 メジャーにかがやく55番」「イップスは治る!」「イップスの乗り越え方」(企画構成)。
日本イップス協会認定トレーナー、日本スポーツマンシップ協会認定コーチ、スポーツ医学検定2級。流通経大の「ジャーナリスト講座」で学生の指導もしている。