【無料会員記事】中継キャッチコピーは「巨人を棄てる。」/私と長嶋さん〈6〉

「巨人を棄てる。」―

1994年(平6)の開幕前、こんな刺激的なキャッチコピーが巨人の主催試合を中継する日本テレビから発表されました。しかも宣伝用のポスターには、長嶋茂雄さんの現役引退試合の写真に大きく「×」印が。仕掛けたのは当時の日本テレビの野球中継チーフプロデューサーで、現在は(株)WOWOW会長の田中晃氏(70)。長嶋さんとともに野球中継に「革命」をもたらした敏腕テレビマンの話を2回に分けてお届けします。

プロ野球

◆田中晃(たなか・あきら)1954年(昭29)9月12日生まれ、長野県出身。松本深志高から早大に進み、79年に日本テレビに入社。多くのスポーツ中継に携わり、03年には編成局編成部長に就任。05年にスカイパーフェクト・コミュニケーションズ(現スカパーJSAT)に転じて取締役専務を歴任したのち、15年6月にWOWOW社長に就任。24年4月から会長職。

自身に大きく「×」印ポスターへの反応は…

都内ホテルの料理店で、長嶋はうまそうに天ぷらを食べていた。田中は持参したサンプル用のポスターを取り出し、長嶋に向けて説明を始めた。

「今年の中継のキャッチコピーは『巨人を棄てる。』でいきたいと思います。過去の栄光をいったん脇に置き、新しい歴史を一からつくっていきませんか」

94年3月9日付日刊スポーツ

94年3月9日付日刊スポーツ

長嶋は、自身の現役引退時の写真に赤字で大きく「×」をつけられたポスターを眺め、こう言った。

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1988年入社。プロ野球を中心に取材し、東京時代の日本ハム、最後の横浜大洋(現DeNA)、長嶋巨人を担当。今年4月、20年ぶりに現場記者に戻り、野球に限らず幅広く取材中。