【舞台裏】「ライオンズ今井達也」として! 個人の夢で空気を乱してはいけない/後編

西武の今井達也投手(27)が来季からメジャーリーグに挑戦することが決定的になりました。しばらく秘めていた思いを、公にしたのは今年10月のこと。なぜそれまで、今井投手は夢を声にしたくなかったのか。「舞台裏」の後編です。

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★連載「The Backstage」

ドラマは注目シーンだけが、見どころではありません。目立たないところにも、さまざまなストーリーが詰まっています。舞台裏で、記者が見て、聞いて、思った話をお届けします。




今井達也(いまい・たつや)1998年(平10)5月9日、栃木・鹿沼市生まれ。作新学院3年夏の甲子園では最速152キロをマークし、54年ぶり2度目の全国制覇に貢献。16年ドラフト1位で西武入団。23年から3年連続10勝。24、25年に開幕投手。24年最多奪三振。23年アジアチャンピオンシップ、25年強化試合(対オランダ)で日本代表。通算159試合、58勝45敗、防御率3・15。180センチ、80キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸1億8000万円。


10月10日、練習を終え報道に対応。この日初めてメジャーへの思いを「公」に語った

10月10日、練習を終え報道に対応。この日初めてメジャーへの思いを「公」に語った

「一番いい時期がいつ始まっていつ終わるか…」

今井がメジャーリーグへの思いを「公」に発信したのは、25年10月10日のことだった。

「自分の全盛期じゃないですけど、一番いい時期がいつ始まっていつ終わるか分からないので。過ぎてからじゃ遅いと思いますし、この2、3年でチームの中心として戦えるようになってきてると思いますし。そういうのも含めてここ1、2年が自分としてもチャレンジしてみたいというか、どこまで通用するのかなって気持ちではいるので」

秋季練習後、報道陣に囲まれてそう話した。

日刊スポーツとしてはその少し前、10月5日の朝刊で、今井にメジャーリーグ挑戦の気持ちがあり、米球界の敏腕代理人スコット・ボラス氏と代理人契約を結んだことを報じた。

これは10月4日に判明して翌5日に報じたというわけでは、ない。

読者の立場からすれば、取材して判明した事実はすぐに報じるべきなのかもしれない。でもいろいろな理由で「タイミングを計るべき情報」も存在する。


10月10日、MLBの公式球でキャッチボール

10月10日、MLBの公式球でキャッチボール

「僕1人メジャー行ったくらいで世間変わらない」

今井のメジャーリーグへの具体的な動きも、それだった。

私がボラス氏のうわさ、イコール、今井がメジャー挑戦へ具体的に動き始めたと耳にしたのは24年冬。ある日ある場所で、25年シーズンの着任あいさつも兼ね、今井に直球でぶつけた。

今井は認めた。いや、認めたというのもニュアンスが違うかもしれない。

「あんまり聞かれないんで、そういうこと。聞かれたら答えますけど、皆さん聞いてこないので」

これで終わると思ったら、今井は意外にも続けた。

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1980年11月、神奈川県座間市出身。法大卒、2003年入社。
震災後の2012年に「自転車日本一周」企画に挑戦し、結局は東日本一周でゴール。ごく局地的ながら経済効果をもたらした。
2019年にアマ野球担当記者として大船渡・佐々木朗希投手を総移動距離2.5万キロにわたり密着。ご縁あってか2020年から千葉ロッテ担当に。2023年から埼玉西武担当。
日本の全ての景色を目にするのが夢。22年9月時点で全国市区町村到達率97.2%、ならびに同2度以上到達率48.2%で、たまに「るるぶ金子」と呼ばれたりも。