【舞台裏】西武今井達也、ファン感で見せた大粒の涙 メジャー挑戦とファンへの思い

メジャーリーグ挑戦を表明している西武の今井達也投手(27)が泣きました。11月23日、本拠地ベルーナドームでのファン感謝イベント「サンクスフェスタ」の、最後の最後で男泣き。夢へ向かうエースはなぜ、最後に決壊したのか-。20分後、まだ目が潤む今井に問いかけました。

プロ野球

★連載「The Backstage」

ドラマは注目シーンだけが、見どころではありません。目立たないところにも、さまざまなストーリーが詰まっています。舞台裏で、記者が見て、聞いて、思った話をお届けします。

◆今井達也(いまい・たつや)1998年(平10)5月9日、栃木・鹿沼市生まれ。作新学院3年夏の甲子園では最速152キロをマークし、54年ぶり2度目の全国制覇に貢献。16年ドラフト1位で西武入団。23年から3年連続10勝。24、25年に開幕投手。24年最多奪三振。23年アジアチャンピオンシップ、25年強化試合(対オランダ)で日本代表。通算159試合、58勝45敗、防御率3・15。180センチ、80キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸1億8000万円。

サンクスフェスタで登板する今井

サンクスフェスタで登板する今井

ファン感で最速153キロ

テレビ局による、今井への質問が始まった。今井の真横に立つ。瞳は正面から見えない。だからこそ、下のくぼみに涙がたまっているのがありありと見える。

私たちペン記者の順番になった。問いかける。

「ファン感謝のイベントで本気で投げる選手って、あまりいませんが、そこは思いを込めて?」

今井はイベント内の野球対決で、肌寒い11月23日なのに最速153キロを投げ込み、スライダーで空振り三振も狙いにいった。

2年前の春にはなかなか目を合わせてくれなかった今井はいま、その目が潤んでいたとしても質問者にがっちり合わせる。

「その方がファンの皆さんが楽しいんじゃないかなと思って」

口元をいたずらっぽく緩める。でもやっぱり目元が気になる。正面から見ても、やっぱり泣いた形跡はまるで隠せていない。

それでも今井は目をふかず、会見場に現れた。わずかな沈黙さえ失礼だ。恐縮ながら矢継ぎ早に質問を重ねさせていただいた。

ファンとキャッチボールをしタッチを交わす今井

ファンとキャッチボールをしタッチを交わす今井

「予想の斜め上を行かれた」

イベントの最後、グラウンドを1周した。三塁ベンチの横で、同じくメジャー挑戦を希望する高橋光成投手(28)と並び、カメラの前に立った。

その映像をセンターのビジョンで、全ての西武ファンが見つめる。

先輩の高橋に続き、一礼した。高橋が先に頭を上げる。今井も上げようとする。上がらない。鼻をつまむ。皆が察する。

やはり今井は泣いていた。左目のコンタクトレンズが外れて頬に張り付くほど、勢いよく泣いていた。

なぜ泣いたか-。今井はテレビ局の代表質問に答えた。

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1980年11月、神奈川県座間市出身。法大卒、2003年入社。
震災後の2012年に「自転車日本一周」企画に挑戦し、結局は東日本一周でゴール。ごく局地的ながら経済効果をもたらした。
2019年にアマ野球担当記者として大船渡・佐々木朗希投手を総移動距離2.5万キロにわたり密着。ご縁あってか2020年から千葉ロッテ担当に。2023年から埼玉西武担当。
日本の全ての景色を目にするのが夢。22年9月時点で全国市区町村到達率97.2%、ならびに同2度以上到達率48.2%で、たまに「るるぶ金子」と呼ばれたりも。