【樋口新葉〈上〉】勝ちたい気持ちが強すぎて 9歳で突然の「イップス」に

日刊スポーツ・プレミアムでは、毎週月曜日にフィギュアスケーターのルーツや支える人の思いに迫る「氷現者」をお届けしています。

シリーズ第6弾は樋口新葉(ノエビア/明大)の登場です。全3回の「上編」公開日となった1月2日に22歳を迎えました。今季は10月以降の試合から休養を選択。来季以降、どんな道に進むのか、そのルーツについて記憶をたどりながら、包み隠さずにその心境を打ち明けてくれました。(敬称略)

フィギュア

<ハッピーバースデーわかば! 1月2日22歳誕生日を祝って3回連載スタートです!>

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北京五輪女子フリーで演技する樋口

北京五輪女子フリーで演技する樋口

現在休養中 卒論に追われる大学4年

「いまはどんな生活を?」

投げかけられた問い掛けに、樋口はにこやかに口を開いた。

少し、照れたように。そこは明治大学のキャンパスの教室。12月中旬、授業を受ける机に座って、ほほ笑みながら。

「休むのを発表して、2カ月ぐらいたったと思うんですけど、もう全然スケートは滑ってなくて。本当に学校に来たりとか、友達と会ったりとか、そういう生活を毎日してます」

短く切った髪と、カジュアルなジーンズ姿。スポンサーのロゴが入ったアウターを着てはいるが、教室外で擦れ違う学生に溶け込みそうないでたちは、どこか軽やかさを感じさせた。

「もう授業っていう授業はなくって、ゼミに入ってるので。うん、そのゼミに水曜日だけ行って。卒業論文もグループで書いたりするゼミなので。私のその学部、商学部はゼミに2つ入れるので、入ってっていう感じで。卒業に向けて動いてます」

同窓の4年生と同じように師走に卒論に追われながら、残り少ない学生生活は過ぎていく。

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スポーツ

阿部健吾Kengo Abe

2008年入社後にスポーツ部(野球以外を担当します)に配属されて15年目。異動ゼロは社内でも珍種です。
どっこい、多様な競技を取材してきた強みを生かし、選手のすごみを横断的に、“特種”な記事を書きたいと奮闘してます。
ツイッターは@KengoAbe_nikkan。二児の父です。