今も生きている大横綱大鵬の味 大嶽部屋のちゃんこを深掘り

錣山部屋に続いて、大嶽部屋のちゃんこを深掘りします。「マツコの知らない世界」では、伝統のソップ炊きが紹介されました。ちゃんこにも力士たちの振る舞いにも…、あらゆるところに大横綱大鵬の教えがあり、伝統を引き継いでいます。

大相撲

ちゃんこの取材で東京・江東区の大嶽部屋にうかがったのは昨年12月上旬。

玄関には「大嶽部屋」と「大鵬道場」の看板が掲げられている。

稽古場の奥に通されると、ちゃんこ番が忙しく準備をしていた。

元幕下電山の吉野博保さんが、部屋のマネージャーとしてちゃんこ場にも入っている。おかみさんも手伝っている。

大嶽部屋のちゃんこ場

大嶽部屋のちゃんこ場

「はい、イライラしな~い」

大嶽部屋のちゃんこ番は、5人ずつが2班に分かれての交代制だ。

やや手際の悪い力士に対し、ある兄弟子がいらだちそうになると、おかみさんが先回りして言う。

「はい、イライラしな~い」

すると空気がなごむ。

「虎徹、コメがうまく炊けてるな!」

ちゃんこ場から、誰かの声が飛ぶ。虎徹が照れると、笑いが起きた。

この日の鍋は、塩味のちゃんこだ。

大嶽親方(元大竜)が味見をしつつ、こんなエピソードを教えてくれた。

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スポーツ

佐々木一郎Ichiro Sasaki

Chiba

1996年入社。2023年11月から、日刊スポーツ・プレミアムの3代目編集長。これまでオリンピック、サッカー、大相撲などの取材を担当してきました。 X(旧ツイッター)のアカウント@ichiro_SUMOで、大相撲情報を発信中。著書に「稽古場物語」「関取になれなかった男たち」(いずれもベースボール・マガジン社)があります。