【北勝富士 引退会見全文】薄れた悔しさ…相手にも応援してくれる人にも失礼になる

元小結の北勝富士(32)が夏場所5日目の5月15日、現役引退し、年寄「大山」を襲名しました。今後は、八角部屋の部屋付き親方として後進の指導にあたります。

引退会見の全文をお送りします。

大相撲

◆北勝富士大輝(ほくとふじ・だいき)本名・中村大輝。1992年(平成4年)7月15日生まれ、埼玉県所沢市出身。10歳から相撲を始めた。埼玉栄高では高校横綱、日本体育大学では学生横綱に輝いた。八角部屋に入門し、2015年春場所初土俵。2016年名古屋場所新十両、同年九州場所新入幕。2017年名古屋場所から4場所連続で金星を獲得した。23年名古屋場所では12勝を挙げ、優勝決定戦に進出し、豊昇龍に敗れた。最高位は小結で、三賞は敢闘賞1回、技能賞2回。金星は現役最多タイの7個だった。通算成績は424勝368敗37休。

引退会見に臨む北勝富士(撮影・鈴木正人)

引退会見に臨む北勝富士(撮影・鈴木正人)

「この1番で全部終わっていいっていう気持ち」

司会の西岩親方ただ今より北勝富士引退年寄「大山」襲名会見を行います。始めに師匠の八角よりご挨拶があります。

八角親方お疲れ様です。今場所も北勝富士はなんとか復帰を願って頑張ってたんですけれども、出られないということで本人は引退を決めたと思います。本日引退します。よろしくお願いします。

西岩親方続きまして、北勝富士改め大山よりご挨拶があります。

北勝富士お疲れ様でございます。本日はこのような場を設けていただき、誠にありがとうございます。

私、北勝富士は本日をもって引退し、年寄大山として後進の指導に精進してまいります。後援会の皆様、ファンの皆様、そして関係者の皆様に大変多くの声援をしていただきました。本当にありがとうございました。今日はよろしくお願いします。

引退会見に臨む北勝富士(左)と師匠の八角理事長(撮影・鈴木正人)

引退会見に臨む北勝富士(左)と師匠の八角理事長(撮影・鈴木正人)

西岩親方それでは、代表質問に移ります。NHK大坂アナウンサー、よろしくお願いします。

―では、代表質問、いくつかさせていただきます。よろしくお願いします。まず、今もう親方なんですが、北勝富士関ということで今日はやらせてください。今、現役を終えて、率直にどんな思いでしょうか

北勝富士そうですね。安心した気持ちがすごく強いです。

―引退の経緯、どういう形で師匠に伝えたかというのを教えてください

北勝富士まずは首のケガ、そして右膝のケガで思うような稽古、準備ができなくなってきまして。最後の3月場所の取り組みで、自分の中ではやっぱり悔しさっていうものがどんどん薄れてきて、準備できなかったから負けてしょうがないっていう気持ちが強くなってきまして。そんな気持ちで土俵上がるのもほんとに、相手もそうですし、失礼だなと。応援してもらっている方に失礼な気持ちになってしまいまして。で、師匠に相談させていただきました。

―どの段階で相談をしましたか

北勝富士やっぱり右膝の怪我っていうのを抱えて、高校2年生から膝のケガと付き合ってましたけど、やっぱり鍛えて強くしてっていうのはやってまして。またそれで右膝のケガを再度やってしまった時に、どんどんこう自分の思うような稽古ができなくなってきて、ずっとモヤモヤした気持ちを1年以上続けてきまして。それで相談させていただきました。

引退会見に臨む北勝富士(撮影・鈴木正人)

引退会見に臨む北勝富士(撮影・鈴木正人)

―決断を伝えた時、師匠からどんな言葉がありましたか

北勝富士「よく頑張ったな」っていうのは言ってもらえて、本当に頑張ったなって自分でも終わりました。

―ご家族には決断を伝えた時、どういうやり取りがあったんでしょうか

北勝富士もうずっと近くで見てもらってましたから。自分のこう、私生活だとか、そういうふうに部分を見てて薄々感じていたものは多分あったと思うので、伝えた時は「お疲れさま」っていうのは言ってもらえてうれしかったです。

―ご長男はもう4歳だと思うんですけど、多分相撲とってるのわかってると思うんですが。何か言葉はありましたか

北勝富士まだ小さいですから。普段自分が地方や巡業で家を空けることが多いので、パパは引退して親方になってっていう話をしたら、「パパはずっといるのか」っていう話をされまして。昔よりはいるよって言ったらなんか喜んでたんで、なんかお父さんになったような感じがします。

―10年の現役生活でした。今振り返るとどんな10年でしたか

本文残り71% (4090文字/5770文字)

スポーツ

佐々木一郎Ichiro Sasaki

Chiba

1996年入社。特別編集委員室所属。これまでオリンピック、サッカー、大相撲などの取材を担当してきました。X(旧ツイッター)のアカウント@ichiro_SUMOで大相撲情報を発信中。著書に「稽古場物語」「関取になれなかった男たち」(いずれもベースボール・マガジン社)があります。