【ヤマコウの時は来た!】

◆6R・2予 地元の大塚健一郎が4着で、なんとか2予に駒を進めた。最近の大塚は、こちらが声を掛けにくいほど、切羽詰まった表情が目に付く。「最初で最後かもしれない地元G1」で力み過ぎず、頑張ってほしい。

その大塚に前を託されたのが山田英明だ。一昨年の京王閣日本選手権で初めてG1の決勝に進み、続く岸和田高松宮記念杯でも決勝進出を決めた。おぼろげながらタイトルも見えてきた。そこに山崎賢人が彗星(すいせい)のごとく現れた。山田は、はっきりとタイトルが視野に入ったはずだ。しかし、そこから試練が立ちはだかる。山崎が強過ぎるがために、番手を狙う選手が多くなってきたのだ。

これは、深谷知広が登場した時と重なる。10年以上タイトルから遠ざかっていた私は、深谷の登場で再びそれが見えてきた。しかし、深谷が強過ぎるがゆえに、誰もが番手を狙うようになった。ダッシュにも付き切れないレースも多くなった。今の山田と同じ状況だ。そこから私はパワーを付けるために筋力強化を図る。今思うとそれが失敗だった。今、山田に必要なことは、うまく山崎をコントロール(組み立てを伝授)し、自分のペースを崩さず大胆かつ繊細にレースを組み立てること。地道にそれをやっていたら、必ず勝利の女神はやってくる。それは大塚も同じこと。

大事なのは、先行も辞さないレースの組み立てをすること。勝ちたいレースで勝てないのが勝負の世界だ。共に勝ち上がることを期待している。(日刊スポーツ評論家・山口幸二)