86期の稲垣裕之(43=京都)が特選9Rで1着。デビューから19年7カ月13日目にして通算500勝を達成した。検車に戻ると大井啓世ら多くの選手からメモリアル達成を祝福され、「500勝は多くの人の支えがあったからです。今後も車券に貢献するには、1つでも多く1着を取っていきたい。1戦1戦を大事にして戦っていきます」と誓いを新たにした。

レースは前後を近畿同士の藤井栄二、西本直大に任せ、盤石のラインを組んで挑んだ。藤井が川越勇星の逃げを3番手まくりで仕留め、稲垣に勝機が巡った。「この500勝もラインの力によるもの。僕が大事にしてきたもの。ラインは1人と1人が組めば、力が3人分だったり4人分になったりする」と近畿ラインの絆を再確認した。

昨年は夏に古傷の右膝半月板を手術し、暮れには街道練習中に車と接触して左足を骨折した。約3カ月ぶりに実戦復帰した2月G1全日本選抜で1勝したが、現在も左足の脛骨(けいこつ)には手術用のボルトが埋め込まれている。そして迎えた今節。初日特選で中団からまくって2着と、16年10月にG1寛仁親王牌を制した面影を見せた。

「G1優勝もうれしかったし、1着じゃなくても思い出深いレースがある。これからは体力が落ちるが、またG1でいいレースができるように気力を振り絞っていく。脇本(雄太)がいますからね。脇本の足を引っ張ったり、頼ってばかりでは駄目。僕はラインのどのポジションもこなせるようにしたい」。ベストレースは過去じゃなく、これからの1戦1戦にありといった心境のよう。気持ちも体も復調モードの稲垣から目が離せない。