尼崎ボートファンから大いに親しまれた場内1階にある丸久食堂のお好み焼き部が44年の歴史にピリオドを打った。

店頭に立ち、いつも笑顔で販売を続けてきた井上義尋さん(73)と、どんなに暑い時期でも、こてを振り、焼き続けてきた那須アツ子さん(77)が、ともに引退となった。

最終節となった今節は初日から大勢のファンが詰めかけて、連日長蛇の列。普段より早く売り切れとなっていた。最終日も朝から大盛況。さらに早く午後2時前には完売となった。

いつも店頭には、日刊スポーツを置いて、尼崎の印やコラムまでチェックするほどの愛読者だった井上さんは「いつも気にして、記事にしてくれてありがとうございました。いろいろ参考に読んでいます。でも、日刊が好きなんですよ。44年間、多くの方が食してくれて感謝しかありません。この味を引き継いでくれる人がいれば、お好み焼き部の復活もあると思います」といえば、那須さんは「ホンマ何枚食べてもらえたかな? 数え切れないぐらいやわ。お好み焼きはなくなるけど、またおいしいものが出てきますよ」。湿っぽさをまったく感じさせず、普段から見せてくれた目いっぱいの笑顔を振りまいて閉店を迎えた。

なお、ファンの胃袋をがっちりつかんでいる丸久食堂は、お好み焼き部の復活もにおわせて、引き続き営業を続けていく。