世界屈指のラストパサーが演出した好機をいかに決めきることができるか-。当然ながらFW陣の決定力が神戸浮沈のカギを握る。サッカー分析会社「データスタジアム」によると、昨季のヴィッセル神戸MFイニエスタ(36)はシュートに結びついた「ラストパス」でJ1最多の54本。元スペイン代表MFはゴールに直結するような決定的なパスを前線に配給し続けた。

ただ、実際にゴールにつながった「アシスト」は日刊スポーツ調べで3回だけ。昨季はリーグ戦23試合1926分の出場だったが、90分換算のラストパスは2・5本で、90分フル出場なら2、3回は好機をつくり出したことになる。だが、チームとしてシュートには結びついても、それが得点につながるケースは意外に少なかったことがわかる。

新型コロナウイルス感染拡大による中断前の2月23日の横浜FC戦でも3本のラストパスを送るなど違いを見せつけたがアシストはなし。結局、J2から昇格したばかりの相手に1-1で引き分けた。FW陣がその決定機を確実にものにしていけば、イニエスタのアシスト数は増え、昨季8位に終わったチームも優勝争いに加わるはずだ。【構成=石川秀和】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「データが語る」)

19年3月、清水戦でパスを出す神戸MFイニエスタ(右)
19年3月、清水戦でパスを出す神戸MFイニエスタ(右)