今冬もJリーグから数多くの実力者が海外のクラブへ移籍した。目立つのが今年6月までの期限付き移籍。FIFAワールドカップ(W杯)カタール大会の日本代表FW相馬勇紀が名古屋からカザピア(ポルトガル)、昨季J1でMVPに輝いたDF岩田智輝が横浜からセルティック(スコットランド)、清水からはパリ五輪世代のエースアタッカー候補、MF鈴木唯人がストラスブール(フランス)へ渡った。

いずれも「買い取りオプション付き」の期限付き移籍。10年以上前までのこのパターンは10年のDF長友佑都(東京→チェゼーナ)、13年のDF酒井高徳(新潟→シュツットガルト)などの成功例が目立つくらいだったが、近年はそこから完全移籍を勝ち取り、さらなる飛躍を遂げた選手が増えている。

18年にMF堂安律(G大阪→フローニンゲン)、20年にMF伊東純也(柏→ゲンク)、22年の夏にはDF伊藤洋輝(磐田→シュツットガルト)、MF田中碧(川崎F→デュッセルドルフ)、FW前田大然(横浜→セルティック)と、W杯カタール大会に出場した日本代表もまずは期限付き移籍で結果を残し、名実ともに「海外組」となった。

この他にも今後、日本代表としての活躍が期待されそうなDF菅原由勢(名古屋→AZアルクマール)、DF橋岡大樹(浦和→シントトロイデン)、MF坂元達裕(C大阪→オーステンデ)らが完全移籍に移行。限られた「お試し期間」で活躍し、チームの主力に定着した。

こうした成功例が増えたこともあってか、その流れは加速。今では欧州各国リーグで70人以上の日本選手がプレーするようになった。それは日本代表の底上げにつながるかもしれないが、主力が抜けたJクラブは戦力ダウン。J1チームはそれに代わる新たな選手をJ2から「個人昇格」させるなどで対応しているが、それと同時に、30周年を迎えたJリーグは若手の発掘、育成のサイクルをこれまで以上に早める必要がありそうだ。

<今季開幕前の海外チームに移籍した主な選手>1月28日現在

MF檀崎竜孔 札幌→マザーウェル(スコットランド)完全

MF三竿健斗 鹿島→サンタクララ(ポルトガル)完全

DF宮本優太 浦和→KMSKダインゼ(ベルギー2部)期限

MF江坂任 浦和→蔚山(韓国)完全

DF谷口彰悟 川崎F→アルラヤン(カタール)完全

DF岩田智輝 横浜→セルティック(スコットランド)期限

FW相馬勇紀 名古屋→カザピア(ポルトガル)期限

DF丸橋祐介 C大阪→BGパトゥム(タイ)期限

FW小田裕太郎 神戸→ハーツ(スコットランド)完全

DF小林友希 神戸→セルティック(スコットランド)完全

MF福井太智 鳥栖→Bミュンヘン(ドイツ)完全

MF原輝綺 清水→グラスホッパー(スイス)期限

MF鈴木唯人 清水→ストラスブール(フランス)期限