<国際親善試合:日本1-2ウクライナ>◇27日◇ベルギー・リエージュ

 この試合を象徴する場面があった。勝ち越しを許した後半24分、FKを起点にしたウクライナの攻撃を日本は、のべ10選手以上が絡んでいったが酒井高、山口ら誰も止めることはできなかった。本来ならブロックする足が届く距離だったのに簡単にかわされた。あと1歩が出なかったのは、この時点で日本が体力の消耗戦で負けていた証拠だ。

 雨でぬかるんだピッチは想像以上に体力、筋力、ボディーバランスを必要とする。そんな時はダイレクトパスでつなぎ、効果的なサッカーをしなければならない。それなのに序盤から相手にサイドチェンジで揺さぶられた揚げ句、集散の速いプレーで受け身に回らされた。日本がすべきサッカーで、ボディーブローのように体力を奪われていた。

 監督への批判もあるようだが、まずは選手個々とグループ戦術が未熟ゆえの結果と受け止めてほしい。ハードワークではウクライナを上回った日本だが、それでも勝てない現実。この敗戦から学ぶものは多い。(日刊スポーツ評論家)