日本は「初心」に戻ったね。ほぼ同格の相手に、W杯のような戦いで挑んで、3点差の大勝だ。日本特有の速い攻撃がどんどんはまっていった。15日のエルサルバドル戦に続き、2試合で10得点。ショータイムだったね。

W杯からのレベルアップを目指す日本だが「守ってカウンター」と、やり方が変わらない。相手に攻められると、ラインを下げて自陣で囲ってボールを奪って速い攻撃で得点を狙った。まさに堅守速攻。W杯のドイツ戦、スペイン戦で見慣れた光景だ。カウンターで、三笘と伊東の存在が光った。

森保監督は、そこから脱皮したかったと思う。そのため前半は相手ボールで攻められた時に、あまりラインを下げずにボールを奪おうとした。しかし10分すぎにロングボールで相手が抜け出し、失点危機を招いてからは、W杯と同じようにラインを下げて守った。選手間で「失点するかも」という危機感があったのだろう。

そのため、中央で分厚い攻撃ができなかった。FW古橋に得点チャンスがほとんどなかったのは、そのため。セルティックならチーム全体が中央からどんどん攻めるが、日本は守る時に1度引いてしまう。だから中央攻撃が生きないし、古橋だけではなく、1トップは誰もが前線で孤立してしまう。W杯と違う景色はないね。

この2戦で唯一の収穫は、右サイドバック(SB)の菅原かな。守りも攻めもできてスピードもあるし、運動量もある。前でプレーする伊東へのパスもいい。シュート力を磨けば、もっと成長できるんじゃないかな。ただ、菅原に続く、もう1人の右SBがほしいね。サッカーにはアクシデントはつきものだからね。

最後に言っておくが、冒頭に言った「初心」は褒め言葉ではないよ。W杯から成長がない、ということだよ。(日刊スポーツ評論家)

日本対ペルー 試合前、記念撮影をする日本代表の選手たち。前列左から古橋、三笘、菅原、旗手、遠藤、後列左からGK中村航、板倉、谷口、伊藤、鎌田、伊東(撮影・上田博志)
日本対ペルー 試合前、記念撮影をする日本代表の選手たち。前列左から古橋、三笘、菅原、旗手、遠藤、後列左からGK中村航、板倉、谷口、伊藤、鎌田、伊東(撮影・上田博志)