“シンデレラ・ボーイ”武藤嘉紀の幼なじみMF三田啓貴(仙台)が、期限付き移籍先の仙台でブレークのきっかけをつかもうとしている。「俺はよっち(武藤)のシンデレラストーリーを間近で見てますから。一歩一歩歩んで自信をつけ、プレッシャーにも打ち勝って今の地位を勝ち取っている。ドイツでもしっかり活躍してますし。その姿を見たおかげで自分にもチャンスがあると思えた。追いついて、今度は向こう(海外)で一緒にやりたいと思ってます」と後を追う。

 ドイツ・ブンデズリーガ1部のマインツ所属の武藤とは、同じ小学校、同じサッカークラブに通い、約11年間一緒にサッカーをした仲。2人そろってプロ選手に成長し、昨季途中まではともに東京でプレーした。武藤の移籍が発表された日の試合では、三田が「祝福」の先制ゴールを決め、送り出した。

 次は自分の番だ。「Jリーグで活躍して代表に入り、海外で活躍するのが理想ですね」。2つ下の武藤に先を越された形に「後れを取ってはいるけれど、まだ諦めてないんで」。自分の夢をかなえるため選んだ新天地仙台から、結果を出し続け、アピールしていく。

 昨季、ダブルボランチの一角が固定されなかった仙台にとって、ゲームメークできるボランチは救世主である。攻撃的MFとしてサイドやトップ下などでドリブル、シュートを武器に大暴れするつもりだ。

 武藤に次ぐシンデレラ・ストーリーの主役として輝くためには「この1年の活躍が必須ですよね」と前を見つめる。現時点では「理想とは程遠い。ブレークするきっかけとして、新たな地で挑戦し、結果を残す」と思い描く。

 日本を離れた武藤とは今も連絡を取り合っていると言い、「寂しいとか言ってたんで『じゃあオレが行く!』って励ましてます」と笑った。夢をかなえる、そのときまで走り続けていく。

 ◆成田光季(なりた・みつき)1989年(平元)5月6日、東京都練馬区生まれ。5歳から始めた体操競技歴は15年。中学、高校時代に日本一を5回経験。明大から12年に入社。整理部1年半を経て、13年から東北のアマチュアスポーツを中心に取材。15年から仙台担当。