J1FC町田ゼルビアのDF岡村大八(29)と中山雄太(29)が2日、東京・町田市の鶴川第一小学校を訪問し、子どもたちとの交流を楽しんだ。
同クラブは2018年から毎年5~6月頃、町田市内にある公立小学校39、公立中学校20にクラブオリジナルの特製下敷きを配布している。その社会貢献活動の一環で、チームを代表して2選手がやってきた。
堅守が売りのチームで、強固なDFラインを組む仲良しコンビ。誕生日も岡村が2月15日なら、中山は1日違いの2月16日と縁が深い。その2選手のサプライズ登場に子どもたちは大喜びだった。学校代表として初々しい1年生への贈呈式が行われ、両選手は下敷きを手渡した。子どもたちからの質問タイムもあり、岡村がキック動作を実演する場面もあった。笑顔を絶やさず、下敷きを受け取った子どもたちとハイタッチ。文字通りの触れ合いを楽しんだ。
その後に各クラスを回ると、より2人の存在を知る上級生たちは目を丸くして興奮。町田の本拠地Gスタに近い場所とあって、まさしく地元のヒーロー。1時間半ほどの滞在中、行く先々で歓声が上がった。
なお今回は、下敷き配布に加え、4月に行われたアジア・チャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)の決勝ラウンドで初出場ながら準優勝に輝いたこともあり、合計59校には大会公式球に黒田剛監督はじめ、選手たちの直筆サイン入りボールも贈呈した。また、中山は鶴川第一小へ自身の使用したスパイクを記念品として手渡した。
学校訪問を終えた2人に話を聞いた。
岡村は「シンプルにうれしかった。反応もそうですし、自分たちにこう喜んでくれている姿を見るのがすごくうれしい。なかなかこういう機会がないので、こういう体験ができて良かった。もっと元気だったり、勇気を与えられる何かきっかけになればいいかなって感じました」。
中山は「僕らが何か与えるという形式でしたけど、僕らが子どもたちから与えられるものがすごく多いなと思いました。町田ゼルビアのこの地域密着型のチームとして、こういう交流が増えれば増えるほど、僕としてもパワーをもらえたり、子どもたちも僕らの試合を見に来たり、こういう交流を経て学校生活の1つの楽しさが増えればいいなと思いました」。
その中山はイングランドでプレーした経験ゆえ、英語を学ぶ極意を伝える場面もあった。話すとは「心を伝える」ということ。うまく言葉を操ろうとするのでなく、自分の心を相手にパスするのだという考え方。そうすると、英語を話すことが楽しくなるという。そこは見事な先生ぶりだった。
そんな2人が小学生時代に有名人に出くわした思い出はあるのか? すると岡村がこんな出来事を明かした。
「僕は都内をお父さんの車で走っていたら、隣にキングカズの車がバーッと止まった。左(ハンドル)のオープンカーで、自分は助手席に座っていたんですけど、身を乗り出して握手してもらいました」
小学校低学年の時の忘れられない、珠玉のエピソードを披露した。まさにこの日の岡村は、子どもたちにとっては“オープンカーに乗ったキングカズ”さながらのものだったに違いない。将来、サッカー選手となった子どもがいたとしたら“ある日学校に大八が突然やってきて、握手してくれた”なんて語られる日が来るかもしれない。
小学校時代はともにガキ大将タイプだったという2人。あらためて子どもたちが持つ純粋な明るさやパワーに原点を気づかされたという。
「ピュアさから出るあのエネルギーはもう僕らには出せない。恥ずかしさがない。大人ってなんか言いたいことがあっても、あれだけ手が挙がることがない。得られないエネルギーを得られたという感覚がある。気になったことを聞いたりっていうのは、大人になると場の空気を読むけど、僕はこの1年生の子どもたちが(どんどん)手を挙げる姿を見て、学んだというか。疑問に思ったことを質問するってことは、周りの目を気にせずやっている子どもたちは素敵だなって思いました」
岡村と中山は言葉をかぶせ合いながら、同じ意見を口にしていた。
今季の特別大会「百年構想リーグ」はプレーオフ1試合を残すのみ。町田は名古屋との5、6位決定戦に臨んでいる。リーグ戦のタイトルは消滅したが、ACLE準優勝という大きな結果は残した。
そんなシーズンについて、岡村は「僕らは(ACLE準優勝が)ゴールではない。あの経験があったからこそ、次のシーズンで優勝したよね、って言える経験にしなければいけない。そのタイトルを取るために、またオフからしっかり体作りをして、新シーズンもいいスタートダッシュが切れるようにしたい」。
また、中山は「やっぱり(ACLEは)優勝を逃している感覚が強い。あんまり納得いかない形で終わっている。裏を返せば、そういう貪欲(どんよく)さだったり、下から上がってきて、もっと良くなっていきたいというのが町田ゼルビアの色だと思うので、その思いの強さをこれからも出し続けていきたいし、そろそろ結果も出していかないといけない。いつも上位に食い込むチームとだけしか多分思われていない。積み上がっているものをプラスして、天皇杯優勝に続く結果を出していきたい」と力強く誓った。
地域貢献活動に参加した2選手だったが、子どもたちとの交流からさまざまな気付きや、今後への力をもらった。【佐藤隆志】




