<高校サッカー:滝川二5-3久御山>◇決勝◇10日◇東京・国立

 滝川二(兵庫)の攻撃陣と言えば栫監督が命名した「ブルトーザー2トップ」ことキャプテンのFW浜口孝太と得点王に輝いたFW樋口寛規に注目が集まりましたが、決勝戦で1ゴール2アシストと大活躍したのがMF本城信晴。今大会では、2トップに相手DFが集中する分、右サイドの本城ら中盤の選手が攻撃参加し、チームを勝利へと導いてきました。

 3回戦の青森山田戦のあとに「大会前から2トップは注目されてきたし、そこに集中してくれれば、僕たちのところの守備が手薄になってチャンスになる。いいシュートじゃなくていいので、点取りたいですね。でも期待されるとプレッシャーになるので、期待はしてほしくない」と笑っていた本城。その次の準々決勝で先制点となるゴールを決め、まさに有言実行の活躍を見せました。

 決勝戦2点目となった、本城のアシストから生まれた樋口の得点は「久御山は常に2トップに注意を払っていると思っていた。だからサイドから仕掛ければ、真ん中が手薄になるし、逆に他に注意が向けば2人のチャンスが増えると思った」と、狙い通り。右サイドでコンビを組んだ浜田量也との連携から生まれたゴールでした。

 夏のインターハイで準優勝したころのチームと比較して「苦しいときに頑張れるようになった」というこのチーム。「インターハイは勢いだけで勝ちあがった感じだったけど、選手権は準決勝も決勝も苦しい時間帯があった中、みんなでがんばって耐えることができた」と、成長を感じています。

 3万5000人以上が入った国立競技場でのプレーにも「まったく緊張しなかった。思っていた以上によく動けました」。チームの初優勝にほっとした表情で「3年間つらい時期もあったけど、練習を積み重ねてきました。大学の練習が始まるまでの間、当分サッカーはいいかな」と笑った本城。「嬉しすぎて今も実感がわかない。とにかく素直に嬉しい!」と3年間を共に過ごした最高の仲間たちと優勝の喜びに浸っていました。(サッカーai編集部

 阿部菜美子)