「あらかじめ説明を受けていた」(本田)という45分一本勝負。右ふくらはぎ肉離れで、メキシコで2試合の途中出場しか準備できなかった本田を憂慮したハリルホジッチ監督の“温情”だった。消化試合とはいえ、最終予選では異例の厚遇だったが、早すぎる消耗と試合勘の欠如を露呈。「いろいろなものを取り戻さないといけない」と本田には現状把握の機会となったが、このままなら徐々に与えられる時間は減り、ロシアへの道は狭まっていく。

 昨年9月の初戦UAE戦から1年間もゴールから遠ざかる。その間に若手が台頭。快足の浅野らと比べ、右FWに限界を感じているのだろう。試合後の取材エリア。公の場で明確に配置転換の希望を口にした。

 本田 自分の特長を考えた時には当然、中盤の方が一番の良さが出ると思っている。それには、いいプレーをしないと使ってもらえない。監督にも話すところ話していくけど(クラブで)まずは真ん中で試合に出続けることが重要かなと。

 もう生存競争に対する危機感を隠せない。「どうロシアに向かうべきか1回、振り出しに戻して考えたい」とチーム論を語った後も「自分も含めて?」と聞かれ「はい」と認めた。集大成と位置付けるW杯まで9カ月。メキシコから西回りの日本、中東で試合し、パリ経由で再びメキシコへ。地球1周の機上で、本田は何を思うのか。【木下淳】

 ◆ハリルホジッチ監督の話 本田がトップコンディションではないことも、出場時間が短くゲーム勘が欠けていることも分かっていたが、45分間の前提で使った。現在、彼はゲーム勘の面でトップレベルにない。今後もトレーニングして、しっかり取り戻してもらいたい。