サッカーワールドカップロシア大会に出場する日本代表監督を9日に解任された、バヒド・ハリルホジッチ前監督(65)が27日午後、都内で会見を開いた。会見の中で同氏は、田嶋幸三会長(60)ら日本サッカー協会(JFA)への批判を繰り返した一方で、代表チームを「1つの家族」と称し、選手に食事をおごったり、17年8月31日のワールドカップアジア最終予選でオーストラリアに勝ち、本大会出場権を獲得後、選手に自腹でプレゼントするなど選手との良好な関係を示すエピソードを明かした。

 ハリルホジッチ氏は会見で

 <1>田嶋会長が解任の最大の要因に挙げた、選手とのコミュニケーション不足はないと考えている

 <2>2月に海外組のMF長谷部誠(34=フランクフルト)、DF長友佑都(31=ガラタサライ)、吉田麻也(29=サウサンプトン)、GK川島永嗣(35=メッス)らベテランの元を訪れ、最近どうしているのか? と意識調査したが当時はモチベーションは高かった。またDF槙野智章(30=浦和レッズ)、DF丹羽大輝(32=サンフレッチェ広島)ら15人程度の選手からは解任時、励ましのメールが来た。選手とのコミュニケーションは取れていた

 <3>ベルギー遠征中の3月23日にフランス-コロンビア戦を視察後、合宿先のリエージュに戻った際、当時技術委員長だった西野朗監督(63)から「注意した方が良い選手がいる、不満を漏らしている選手がいる」と言われたものの、それ以外、JFAは問題点を1つも指摘せず、7日突然、解任を言い渡された

 <4>自身への不満を田嶋会長に訴えた代表選手が2名、いると考えており、当該選手は「会長とやりとりしていて、テクニカルスタッフの何人かとも」と内通していたと強調

などと批判した。

 その一方で、代表チームについては「非常に家族的スピリットが強く選手、スタッフは1つの家族」と語り、選手、スタッフに自ら食事をおごったりプレゼントを贈ったエピソードを明かした。

 ハリルホジッチ氏 外国人、日本人を混ぜ、全員でディナーを食べる機会を何度も設けた…おごるのは僕だが。ただ飯だと思うと、みんなすごく食べるんだ(笑い)本当は言わない方が良いのかも知れないが、ワールドカップ出場権を手に入れた時、1人1人に自分からのお礼を込めて、ちょっとしたものをプレゼントした、バヒドは見た目ほど憎たらしくないヤツじゃないと、どこかで思ってもらえたのではないでしょうか? ピッチでは非常に厳しいかも知れないが、いつもいつも厳しいわけではありません。

 会見の当初、冒頭30分間、1人語りの時間を設けられていたが、ハリルホジッチ氏は50分近く話し続けた。主催の日本記者クラブサイドから質疑応答の時間を確保するため、45分くらいたった段階で“独演会”を制されたものの、日本サッカー協会(JFA)田嶋幸三会長らへの“怒りの告発”は止まらなかった。1時間程度、予定されていた会見は1時間35分まで延びた。

 その中、ハリルホジッチ氏は会見の終盤に「私は日本の永遠のサポーターです。日本、これからも頑張って下さい…これは心からの言葉で、リップサービスではありません」と日本と日本代表への愛を強調した。

 また報道陣に向けても「客観的に記事を書いて下さい。私のことはどう書いていただいても良いが、代表は窮地の中、準備を進めていく。サッカーの世界ではワールドカップは危険性をはらんだ素晴らしい舞台…お願いです、彼らに準備の時間を与えてあげて下さい。いい試合、いいワールドカップにして欲しい」と日本代表を報道の力で後押しして欲しいと強く訴えた。

 そして、最後に「記者の方々から今まで、全員ではないんですけども、記者会見が終わるごとに拍手をいただいていました。拍手に本当に心から御礼申し上げます。アリガトウゴザイマシタ」と日本語を交えてあいさつし、拍手で退場した。【村上幸将】